2015年07月24日

何故風営法改正で遊興が問題となっているか

今回の風営法改正により遊興という言葉が大きな問題となっています。今回の改正では設備を設け深夜にお酒を提供するお店で客に遊興をさせる場合は特定遊興飲食店営業として許可が必要とされました。許可制である事から無許可である場合には懲役や罰金等の刑罰を受ける事になります。
そもそも風営法では深夜飲食店(酒提供の有無を問わない)において客に遊興をさせる事は禁じられていました。ただ改正前の法律では刑事罰はありませんでした。今回の改正においては例外なく禁止であった深夜に遊興させる行為に関して酒類提供が無い場合は規制の撤廃、酒類提供のある場合には許可制での解禁として従前からの規制緩和であるいうのが国の見解です。
しかし、刑事罰の無かったものに対して刑事罰規定を設ける事は規制強化であるとの反論意見が多く出ている現状があります。その意見の中には今までやっていた営業ができなくなるとの声があります。ただ理論上では今までそもそも禁止されていた事なので新たに営業ができなくなるものが生じる事はあり得ないと考えられます。できなくなる事があると主張する事は罰則の有無を問わず現在違法状態があると主張してるとも受け取れます。
改正できなくなると主張されている事の例としてはフジロック等のフェスがあります。これをできなくなると考えるとフジロックは現状において多くの人が集まる違法イベントとなります。そもそも法に問題があろうとも大型イベントが違法状態である事は大問題です。他にもこの様な問題は各所において生じています。
ただこの問題はできなくなる事が理論上増えたのではない事から今回の法改正が原因ではありません。そもそも改正前の法律段階で遊興の定義における曖昧さや、その規制主旨が問題です。
元々深夜に飲食店で遊興を禁じている理由は本来人は深夜寝るものであるとの考え方から深夜静かに眠りたい人の邪魔をしてはならない等の主旨があります。そうであるならば寝ている人の邪魔とならない様な野外フェス等は規制の対象でないと考えるべきとなります。しかし現在警察庁が示している解釈においてはショーや生バンド等の演奏を聞かせる行為は遊興にあたるとされており、かなり幅がひろくなっています。なお、ここでいう解釈とは警察庁がだしている解釈運用基準であり、法律そのものではありません。この問題を解決するには解釈をより法の主旨に則り具体的に示す事が一番と思います。

この深夜遊興禁止規定は改正前あるにも関わらず何故今問題となっているのでしょうか。
深夜に遊興させる事を禁じている事は改正前から存在するわけであり、改正によりできなくなる営業は本来生じないはずです。しかし今問題となっている事には複数の原因があると考えられます。
先ずは今までこの規定の存在が広く理解されていなかった事です。従前から深夜遊興禁止規定が広く知られていたら、もっと前から深夜遊興禁止に関する議論がされていた可能性もありますし、元々これに該当する営業は行われていなかったと思われます。しかし今回法改正においてクローズアップされた事で、この規定に関して疑問を持つ人が増えた事により今となってこの問題が議論される結果になっています。
次に考えられる事として、深夜遊興禁止に関して深堀をし過ぎている事が考えられます。今まで深夜遊興禁止に関してはあまり深堀をした議論はなされていません。またこの規定違反で大きな事件は起きていません。深夜に飲食店で大騒ぎしており近所から苦情通報があった場合等には警察官がこの規定を利用して指導を行う等が主な運用であり実害が無ければ取り沙汰される事もあまりありませんでした。(深夜酒類提供飲食店営業の届出時に指導されるケースはあります)しかし今回の法改正時には営業者等が深夜遊興の具体的ケーキを沢山持ち出して議論を進めていくと、その多くが遊興に該当する恐れがあるとなっていき問題が広まっています。また、本来の定義なら該当しないものまでもが、該当すると広まり実際の規制よりも厳しい内容で世間に広まり問題が大きくなっている部分もあります。
最後に最大の問題は、ダンス規制改革において短期間でダンス規定だけを単純に取り除いた事が考えられます。元々風営法の構造は、飲食、接待、ダンス、遊興、遊戯等を様々な形で組合わせて構成されており、それらは脱法的行為を行う者にとって抜道を潜らせない状態となっています。そんな中で風営法からダンスという文言だけを取り除くという改正を行った為に今まで複雑に絡みながらもバランスが維持できていた構造が崩れる結果になりました。これにより脱法的行為の抜け穴も生じますが、過剰な規制が生じる事にも繋がります。
今回の法改正議論においては関係当事者からの意見聴取を実施したとの見解がありますが、基本的にはダンスに関係する者に限定されています。しかしダンスというのは風営法構造の中で一つの要素に過ぎず、そこにメスを入れるならば構造全体の見直しや検証が必要となります。勿論全体を見直すならばパチンコ等の遊戯業へも影響は必須ですが、そこを触れる事により改正議論への進展に影響を及ぼす恐れがあるとして、部分的な改正に止めたという説もあります。
もし全体を見直すならばダンス以外の関係当事者らにも意見聴取を行ったりする必要があるはずです。しかし、短期間でダンス規制問題を解決する事が優先され半ば強引にダンス部分だけの改正となりました。その結果、ダンスは遊興に定義され、さらには深夜のダンスは許可が必要との考えから、深夜遊興全てが許可制へと繋がりました。また、ダンス以外の部分においても若干の改正が行われていますが、ダンスに関係ない事業者からの意見聴取や周知は未だ全く実行されていない問題もあります。
今回の法改正は通常よりも極端に短い検討期間で実施されており、その結果当然の事ながら不具合が生じていると考える事ができます。

今回の遊興問題を含め風営法規制のあり方を整備するには、風営法全体構造からしっかり議論しなおす必要があると思われますので、今回の法改正が最終形とせず、この先もしっかり議論される環境が必要と考えます。
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2015年06月29日

風営法の許可申請期間は地域によって異なる

風俗営業許可の処理期間は申請から許可までで55日以内と言われる事がよくあります。
また、この期間の事を標準処理期間と呼ぶ事もあります。

この2つは実は正しい事ではありません。
先ず、風俗営業の処理期間は個別具体的な処理を要する為、標準処理期間は定められていません。
あくまでも処理の目安期間にすぎません。
では何故目安にも関わらず「以内」という文言を用いいるかですが、
これは実際に処理を行う都道府県警察が目安を定める際に、その目安は「55日以内」としているからです。
そして実際に目安期間を定めている都道府県警察の規定では「55日」等とされています。

大阪や京都等では許可の種別によって「45日」とされている地域もあります。
これは警察庁が「55日以内で各都道府県警察の実情に応じた期間を定める。」としている事から、地域によっては「55日」より短くなっています。
また「55日」は地域によって休日を含む場合とそうでない場合があります。
これも地域によって異なります。

そして、この都道府県で定める期間は目安なので、仮に「55日」とされていても、
地域によっては20〜30日程度の事があれば、60日、70日、80日とかかるケースもあります。
どのケースでも違法ではありません。

風俗営業許可を取得される際のスケジュールは地域による定め方の違いや、この期間は警察側が必ず拘束されているものでご注意下さい。


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2015年06月24日

改正風営法の一部施行

平成27年6月24日付けにて
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正が施行されました。
またこれに伴い、同法施行令及び施行規則、同法解釈運用基準も同日付けで改正施行されました。

今回の改正内容は風営法第2条第1項第4号の規定を削除し、これにより飲食を伴わないダンス営業(ダンスホールやダンス教室)は風営法の提要から除外される事となりました。
従前は指定機関の講習を受けた講師を配置するダンス教室等に限って風俗営業許可の取得が不要とされていましたが、同日より飲食を伴わない全てのダンス営業は風俗営業許可が不要となりました。

飲食を伴うダンス営業等に関わる部分の改正は同日より1年以内に施行されます。
ラベル:ダンス 削除
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2015年06月19日

風営法改正によるダンス営業以外への影響(1)

ダンス規制問題による風営法改正案が平成27年6月17日に可決成立しました。
今回の改正はダンス規制の見直しによる部分が中心となっていますが、それ以外の部分においても改正点や影響を受ける部分があります。
ダンス営業以外への影響点を数回に分けてご紹介します。

1回目は「営業時間」

現在、風俗営業は原則として深夜0時から日の出までの間において営業を行う事ができません。
一部条例で認める場合においては深夜1時から日の出までの間が営業禁止時間となります。
この規定は風営法により定められており、祭事等の特殊事情が無い限り深夜1時から日の出までの間は条例を改正しても営業を行う事ができませんでした。
しかし、今回の改正により条例で営業禁止時間を深夜1時以降にする事が可能となります。
これは下記の「風俗営業」と称される営業全てに適用されます。
・第2条第1項第1号 キャバクラ、キャバレー等
・第2条第1項第2号 低照度飲食店
・第2条第1項第3号 区画飲食店
・第2条第1項第4号 ぱちんこ、麻雀等
・第2条第1項第5号 ゲームセンター
(性風俗等に関しては風営法では「風俗営業」ではなく「性風俗特殊営業」として別の定義がなされている為、深夜営業は条例で自由に認める事は引続きできません。)

条例により時間延長が認められた場合には深夜までキャバクラ等が営業を行う事となります。
現在の風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では全国統一的に営業時間の規制を行っていましたが、今回の改正により条例で地域の実情に応じた時間規制へと変わります。
なお、現在の風営法の前身である風俗営業等取締法時代は、営業時間規制は法律ではなく各都道府県の条例で定められていました。今回の改正で営業時間規制は30年前の考え方に戻ったという意見もでています。


営業時間の部分で「深夜」の定義において「日の出」という文言が見直されました。
これまで深夜営業が認められていなかった風俗営業や店舗型性風俗特殊営業の原則的な営業開始可能時間は「日の出」でした。
これが今回の改正により「午前6時」に改正されました。
今まで朝から営業を開始するホストクラブや性風俗店等では「日の出営業」として日の出時刻に店をOPENさせている所が多く存在しました。
日の出時間は夏と冬では大きく異なります。夏場は午前6時より早いですが、冬場はそれよりも遅い時間です。
今回の改正により夏場は「規制強化」冬場は「規制緩和」になると考える事もできます。


これら営業時間の他にもダンス営業以外で法改正の影響を受ける部分はありますので、今後も引続きこのブログでご紹介します。
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2015年06月18日

風営法改正の概要

平成27年6月17日可決成立の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」)の概要

・風俗営業の定義に関して
現在の風俗営業の定義
第2条第1項第1号 キャバレー等
第2条第1項第2号 キャバクラ等
第2条第1項第3号 ダンスクラブ等
第2条第1項第4号 ダンスホール等
第2条第1項第5号 低照度飲食店
第2条第1項第6号 区画飲食店
第2条第1項第7号 ぱちんこ、麻雀等
第2条第1項第8号 ゲームセンター

改正案の風俗営業の定義
第2条第1項第1号 キャバクラ、キャバレー等
第2条第1項第2号 低照度飲食店
第2条第1項第3号 区画飲食店
第2条第1項第4号 ぱちんこ、麻雀等
第2条第1項第5号 ゲームセンター
*これによりダンス文言を用いた風営法の業態規制は撤廃となります。

・特定遊興飲食店営業の定義
第2条第11項(現在は接待業務受託営業であるが、これは13項へ移動。)に新たな業態として「特定遊興飲食店営業」を定義。
第2条第12項には許可又は承認を受けて特定遊興飲食店営業を営む者を「特定遊興飲食店営業者」と新たに定義。
第32条第1項第2号(深夜遊興禁止規定)を削除。
11項の新たな定義は「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。」
*これにより今までは禁止されていた深夜に客に遊興させる営業が可能(酒を提供する場合は許可性)となりました。

・営業時間の制限及び深夜の定義に関して
第13条第1項に規定する風俗営業の原則的禁止時間が(午前零時〜日の出)から(午前零時〜午前六時)へと改定、この禁止時間を「深夜」と定義。
また、現行法にて午前一時までと規制されている祭事等日以外での条例による時間延長可能時間制限が撤廃。
第13条第3項及び4項が新設され、深夜における風俗営業に関し周辺への迷惑等防止措置義務、苦情処理に関する帳簿備付義務等が追加。
*第28条第4項の一部改正等も行われ風俗営業に限らず店舗型性風俗特殊営業等に関しても深夜の定義が変更される事となりました。
*都道府県により定める条例により深夜における風俗営業を行える可能性が生じました。但し、営業者に対しては迷惑防止策や帳簿備付等の新たな義務が生じました。

・特定遊興飲食店営業に関する規制等に関して
第31条の22が新設され特定遊興飲食店営業を営む者は公安委員会の許可を受けなければならないと規定。
第31条の23が新設され特定遊興飲食店に関する許可基準及び規制基準等の準用規定が整備。
*特定遊興飲食店に関しては大部分を第31条の23において風俗営業の規定を準用する事から、特定遊興飲食店営業の許可運用や規制等は特定遊興飲食店営業独自のもの以外、大きな部分は同じとなりました。

・風俗環境保全協議会の設置
第38条の4が新設され、公安委員会は条例で定める地域においては警察署長、風俗営業及び特定遊興飲食店の管理者、酒類提供飲食店を営む者、少年指導員、地域住民等により構成される風俗環境保全協議会を設置するよう努めなければならない。
*地域と行政と事業者が集まる協議会の設置となり、地域における風俗環境の保全等に関する協議等を行う機関に関する規定が新設されます。

・事業者団体に関して
第44条の規定が改定され、特定遊興飲食店営業者による特定遊興飲食店営業の健全化を目的として組織する団体をこの規定に追加。
第44条第2項が新設され、第1項の規定に基づき届出を行った団体に対して国家公安委員会及び公安委員会は必要な助言や指導等を行う事が努力義務として規定。
*現在存在する現行法3号等の事業者団体は引続き特定遊興飲食店営業者の団体として存続する事が可能になる他、公安委員会は団体に対して指導等を行う事が明文化された事により、事業者の団体等による業界健全化に向けた自主的取組を加速される事が狙いの規定です。

・その他改正
その他ダンス規定を削除する等にあたり整合性を図る為に必要な部分が多数改正となります。

・他法令の改正
風営法改正に伴い、法律間の整合性を保つ為、旅館業法、建築基準法、酒税法、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部を改正。

これらの内容は法律公布日から1年以内に施行されます。但し、現4号営業の削除は公布の日に施行されます。改正に伴う特定遊興飲食店営業の許可申請等は公布から9か月以内に開始されます。
特定遊興飲食店に関する面積規定や照度の測定方法等は法案成立後に公安委員会規則等にて、地域規制や営業時間(風俗営業の深夜営業を含む)に関しては公安委員会規則等決定後に都道府県条例等にて決定されます。
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2015年06月17日

ダンス規制等に関する風営法が改正されました

平成27年6月17日開催の参議院本会議にて風営法改正案が可決成立しました。
今後1年以内に施行されます。
施行までの間に
・地域規制
・面積規制
・照度計測方法
・諸手続
等が政令等により決定される予定です。

1年後の施行までは現行法が適用されますので、現行法に基づいた営業等が必要となります。

今までの経緯や概要は
http://fuei-kaisei.com/
にまとめています。

改正に関するニュース記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150617-00000045-jij-pol
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月13日

違法風俗店退去後の対策

大阪府警は繁華街のビルオーナーに対し、違法店舗の退去後は内装をスケルトンにするよう要請を行っているようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150511-00000064-san-soci

違法風俗店は雑居ビルの1室に間仕切りを設け小さな小部屋があったり、シャワー室や小部屋内にはベッドがある構造です。
大阪府内においては府下全域で客に対して性的サービスを行う店舗型性風俗店が新規では認められておらず、違法な形での営業を行っている店が多数存在します。警察側は違法風俗店を順次摘発しているものの、その摘発されて空き部屋となった場所に再び違法風俗店が入居するケースが相次いでいます。
その原因の1つに、摘発されて空きテナントとなっても、内装がそのまま残されており、次に違法風俗店を行おうとする者がそのまま使えて出店コストを抑えられる事があります。また、違法風俗店の内装が残されているテナントビルでは、一般の入居者からすると内装を撤去する費用や時間が負担となり嫌がられる傾向があります。
この様に内装が残っていると他の営業を行う人が入り難く、違法風俗店は入りやすい状態になってしまいます。

内装を残した状態で繰り返し違法風俗店が入居している場合には、ビルオーナーも違法風俗店を幇助したとして処罰の対象とされるケースもあります。
大阪府警としてはビルオーナーに対して、違法風俗店が繰り返し入居しない様、内装のスケルトンを求める動きとなっています。
ラベル:違法風俗店
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2015年04月28日

風俗営業許可申請の地域差

風俗営業許可申請は風営法に規定されており、風営法とは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」として全国で適用される法律として制定運用されています。
全国で適用される法律ですから、どの様な営業を行う際に許可が必要や、どの様な行為を行えば違反になる等は原則として同じです。
しかし、許認可手続となれば話は変わります。風営法に基づく風俗営業許可等の許可権限は各都道府県公安委員会にあり、その許認可権者によって許認可に関する細かな規定はことなります。
そもそも風営法が規制の対象としている「風俗」の意味とは「世俗」「風習」「文化」等を指しており、これらは各地域により当然異なります。その異なる習慣等に適切に対応すべく風営法では細かな規定は各都道府県の条例を設けさせ、さらに細かな許認可等に関わる判断は各都道府県公安委員会に委ねる事とされています。
また各地域により今まで発生してきた違反や事件等の再発防止の観点から運用方法を考えている部分もあり、各地域における運用差異は各地域の繁華街そのものが生み出したものであるとも言われています。


各都道府県により運用が異なる点の代表例をいくつか書きます。
・風俗営業許可取得までの期間
風俗営業許可に関しては行政手続法による標準処理期間を定める行政手続には馴染まないものとして、基本的には標準趣里機関の定めは行われない事とされていますが、各都道府県公安委員会においては許可までの目安期間を定めているケースがほとんどです。
風俗営業許可に関する許可期間の全国的な目安としては55日という考え方がありますが、同じ55日でも土日祝日を含んで計算する地域と除いて計算する地域があります。
また、許可の種別によっては45日とする等、異なる日数を定めている都道府県もあります。
さらに、都道府県により保健所での食品衛生許可手続中に風俗営業の申請が行えるエリア、食品衛生許可取得後でなければ風俗営業の申請が行えないエリアもあり、実質的にOPENできる状態を構築する期間が大きく異なります。
・申請書類や図面等
許可の申請には様々な書類や図面を添える事となります。これらの書類は全国統一的に内閣府令で定められてはいるのですが、やはり地域によって違いがあります。
書き方に違いがあったり、添付する書類に違いがあったりします。勿論内閣府令等で全国的に統一されているものはどの地域でも必要な書類となりますが、やはり地域事情に応じて各都道府県公安委員会が許可判断を行うに際して必要な書類が異なりこの様な事になっています。また、許可申請の事務的な流の違いから書類を1通のみ提出で可能な地域もあれば、複数の申請書を提出する地域もあります。
図面に関しては書類以上に地域差が生じています。これは各都道府県公安委員会により、風営法に定める構造設備要件の解釈に差があったり、検査の方法等に差がある事から生じています。
・構造設備要件の解釈
風俗営業許可の要件として重要である構造設備要件の解釈に関しても地域により差があります。その代表例は客室内の見通しに関する事です。
全国統一的に定められている事としては客室内に見通しを妨げる物を設置してはならず、その見通しを妨げる物とは高さが概ね1メートルを超える物とされていますが、この見通しを妨げる物とは何を示すかにおいての解釈に差異が生じています。また客室内にあるカウンターに関しても高さ制限の対象とする地域もあれば、カウンターの設置位置により違う判断をする地域、カウンターは見通し規制の対象外とする地域があります。
他にも1メートルを超えない衝立であっても客室内にあれば、衝立があればそれは客室そのものの区切りであると判断し、衝立の区画毎に最低面積規制の規定を適用する地域もあります。
・他行政との連携
風俗営業の申請は警察署を経由して各都道府県の公安委員会宛に行いますが、地域によっては消防や建築行政と警察が連携し許可審査を進める場合があります。これは営業所に対して公安委員会が許可をしたとしても、消防法や建築基準法に抵触しており、火災等が発生した場合に多くの人命被害を出さない様にする目的があります。過去にも繁華街においては何度も雑居ビル火災等で多くの被害が発生しています。
ただ風営法は安全等に関する法律でない事から、公安委員会は消防法や建築基準法に基づいた指導等を行う事はできません。また、風俗営業許可申請は行っても消防法や建築基準法に基づく必要な手続等を行わないといった営業者も存在し、安全性に問題が生じるケースが多くあります。
そこで、風営法に基づいた審査を行う公安委員会(実作業は警察)と消防や建築の行政が風俗営業許可時は連携するといった地域が多くあります。
しかしこの場合も手続の流れ等は地域によって大きく異なります。何故ならば風営法に基づく運用は各都道府県の公安委員会なので全国に47となりますが、消防や建築行政は各市町村により異なるので更にルールに差異が生じてきます。
地域によっては警察署に許可申請書類を提出する際に消防や建築に関する書類も同時に提出し、警察側から消防や建築の行政に書類が送られる場合や、申請者側が各行政に書類を提出する場合、更には検査は様々な行政期間が合同で行うケースもあれば、各行政が個別に行うケース等様々です。
勿論、風営法の規定にだけ則り、許可申請の手続においては他行政との連携を行わない地域もあります。


これらは一例に過ぎませんが、今まで営業を経験した方が新たな地域に進出する際等は、今までの地域と同じやり方では許可申請が行えない可能性がある事を認識する必要があります。それを知らずに店の工事、申請等の準備、開店日の設定を行うと大きな損害が生ずる場合があります。
これを読まれた方は風営法は特別に厳しく営業者にとって負担の大きい法律だと思われるかもしれませんが、実はこの様な問題は風営法に限らず多くの行政手続で生じています。
この傾向は地方主体の行政が進んでいく中で、より大きくなるとも考えられます。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 02:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 風営法全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月09日

風営法のラブホテルと世間から見たラブホテル

日本全国にラブホテルと言われる施設は1万軒弱存在すると言われています。

そしてラブホテルは風営法においては店舗型性風俗特殊営業として定義されており、営業を行うに際しては公安委員会に対して届出を行う必要があります。
下は公安委員会に対して提出されているラブホテルの届出件数です。

平成21年3837件
平成22年3692件
平成23年6259件
平成24年6152件
平成25年6027件

風営法の届出件数が実態のラブホテル軒数に比べてかなり少なく見えます。無届の業者比率がかなり高いと見えます。実際にそうなのでしょうか?
実は風営法で定義するラブホテルと一般的に言われるラブホテルの定義には大きな違いがあります。
世間一般的にはカップルが性行為等を目的として利用する施設と考えられてるが、風営法では次の通り定義されています。

風営法第2条第6項第4号
「専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業

少しこれを整理すると
@主としてカップルが利用
A一定の建物
B一定の客室
この@〜B全てが揃った時に風営法のラブホテルとなるとされています。
カップルが性行為等の目的で主として利用していてもABに該当しなければ風営法としてはラブホテルに該当せず、法律上は単なるホテルとなります。これにより法律上はラブホテルとはされない「偽装ラブホテル」「類似ラブホテル」が問題となり平成23年に法改正が実施されABの定義見直しが行われました。この関係で平成23年に届出件数が倍増しています。
どういった部分がABに該当するかが法律上のラブホテルとなるかですが、
Aは食堂やロビーが狭い、フロント等が目隠しされている、カギを手渡しされずとも客室へ入れる等です。
Bは回転ベッドやガラス張りの浴室がある、SM等の設備がある、自動精算機がある等です。

http://fuei-kaisei.com/f_hotel.html
詳細はこちら

風営法のラブホテルと定義されれば主に以下の様な規制がなされます。
・出店時の立地規制
・敷地外での看板設置禁止
・年少者の立入禁止
法規制以外にも
・金融機関との取引で制限される場合がある
・求人や集客広告に制限がある

最近のラブホテルは回転ベッドを設置したりする等の卑猥なイメージの客室よりも、スタイリッシュな客室が増えており、利用者からも好まれる傾向があります。
また、昔は出入口が見え難い感じになっていたり、できるだけ従業員と顔を合わさない構造が好まれていましたが、最近では出入口もスタイリッシュであったり、フロントで従業員と顔を合わす事に抵抗を示さない利用者が増えてきました。
そうなってくると、AやBを設けなくともラブホテルの営業は可能になります。AやBを設けないという事は風営法に基づきラブホテルの規制を受ける事がなくなります。
その結果、風営法のラブホテルと世間から見たラブホテルの数が開きが生じてきます。また、規制を受けない関係から小学校の近所にラブホテルが建設されたり、ラブホテルの看板が設置される可能性も大きくなります。また、年少者が利用する事も法律的には可能となります。

平成23年の改正に際しては可能な限り全てのラブホテルを規制の対象としたい考え方と、規制の方法によっては一般のホテルまでが規制対象になってしまう部分で議論が繰り返され、結果として一般のホテルにまで規制が及ばない範囲の規制となりました。
議論の段階では休憩利用があるホテルはラブホテル等との意見もありましたが一般のホテルがデイユースプラン等を行っている事等から対象外とされました。
また、風営法によるラブホテル規制制定当初カップルが主として利用するホテルはラブホテルとすべきとの議論もありましたが、ハネムーン向けのホテル等がこれに該当し、大手旅行会社のハネムーンツアー等に組込めない等の問題があり、構造等の基準も設けられました。

平成23年に一旦増加した届出件数も24年以降から再び減少しており、今後も減少すると考えられています。
本来規制が必要なラブホテルのうち風営法の網から外れていくホテルが増えていけば、再び風営法規制見直しを行って規制対象の拡大を行うか、そもそもラブホテルを風営法で規制する必要があるのか等の議論が繰り返される日も近いと感じます。
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2015年03月22日

風営法における深夜遊興に関して

今ダンス規制に関する風営法改正が議論されている中で、現在風俗営業として規定されているダンス関連営業を削除し新たに特定遊興飲食店営業が定義されようとしています。また現行風営法において深夜飲食店では客に遊興をさせる事が禁止されていますが、この規定は削除される改正案となっています。
これらで用いられる「遊興」という言葉に関して改正後はどの様に解釈するかが、今回の法改正議論における山場の一つになっています。

改正後に遊興がどの様に解釈されるかの問題はありますが、現行風営法において禁じられている「客に遊興をさせる」とはどの様な内容として現行の解釈がされているかを先ず振り返りたいと思います。
・不特定多数の客に歌、ダンス、ショウ、演芸、映画その他の興行等を見せる行為。
・生バンドの演奏等を客に聞かせる行為。
・のど自慢大会等客の参加する遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為。
・不特定の客に対しカラオケを歌うことを勧奨する行為等。
現在この様な内容が例示されていますが、更に検討してみます。

「客に遊興をさせるに該当する」
・ダーツバーでハウストーナメントを開催
・ディーラーを配置してルーレットやトランプゲームをさせる
「客に遊興をされるに該当しない」
・ダーツバーで客が自らマシンに料金を入れてダーツをする
・カラオケボックスで客がリモコンを操作しカラオケを歌う
・スポーツバーでスポーツ中継のテレビを客に見せる
*なお、この解釈は具体的事案により異なる場合があります。
*ダーツやルーレットに関しては風俗営業許可(ゲームセンター営業)との問題は別途生じます。 http://fu-ei.info/10p.html

ここの判断基準は「遊興」と「遊興をさせる」の違いがポイントになります。現行風営法では単なる飲食行為以外(風俗営業に該当する行為は除く)は全て遊興行為と解釈しています。しかし風営法では「遊興」を禁じているのではなく、「遊興をさせる」を規制の対象としています。「ダンス」を禁じているのではなく「ダンスをさせる」を規制の対象にしている事と似ています。
ここでいう「させる」とは主に人がさせる事と解されています。客が自ら機械等を操作する場合は該当しないが店員が客を直接遊ばせる場合はこれに該当するといった考え方です。

そして今議論されている改正案においての特定遊興飲食店営業では、「設備を設け客に遊興させる」が対象とされています。
これは単なる「遊興」を対象としているのではなく、「遊興をさせる」と「設備を設けて」の両方が揃った状態を対象としています。
今回の改正案では深夜飲食店において「客に遊興をさせる」が禁止事項から外れる事により、設備等を必要としないゲーム大会等は深夜において何等の規制対象にも該当しなくなります。

「遊興」
「遊興をさせる」
「設備を設けて遊興をさせる」
この3つは遊興という言葉で共通していますが、議論の中ではこの3つの意味の違いを認識しておく必要があります。
ダンス問題においても「ダンス」と「ダンスをさせる」と「設備を設けてダンスをさせる」が混同し、例えばステージ等のスペースが一切存在しない沖縄料理店で客が踊り出す事も風俗営業として規制されているや、ダンスそのものが規制されているといった誤った認識が広まりました。

この先、改正議論が続く中で、皆が正しい認識を持って議論する事が重要となります。
ラベル:ゲーム 深夜 遊興
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする