2015年11月03日

何故旅行客が増えているのに旅館業の規制緩和がされないのか

風営法に直接関係ない部分もありますが、今話題の「民泊」に関して。

外国人等の観光客が増加し、各地で宿泊施設不足が問題となっています。

宿泊施設は旅館業法に基づき許可を取得する必要があります。
また、建築基準法や消防法においては宿泊施設としての設備等を備える必要があります。
しかし、宿泊施設不足が問題となるなかで「民泊」と言われるマンション等の空室を旅行客に提供する行為が急増しています。
そもそもこの事は合法なのでしょうか?
旅館業法の規定では
@施設を設け
A宿泊料を受け
B宿泊させ
Cこれを業として
この4つ全てが重なった場合に旅館業法として許可が必要と考えられています。
なお、ここでいう「宿泊」とは寝具等を使用して施設を利用すると定義されていますので、布団やベッドが客室に存在し、客がそれを利用する状態と解されます。また、業としての部分は、同じ施設において継続的に宿泊させる状態と解されます。
本来民泊とは個人宅に宿泊するという意味ですので、家の主が不在の日に家を貸したり、家の中の空いている部屋に旅行者を宿泊させたりする事です。これを民泊用にマンション等を所有し、旅館業法許可を取得せず旅行客等を宿泊させることは旅館業法違反になると解する事が出来ます。

民泊で有名な「Airbnb」のヘルプには
「Airbnbでホストを始めるかどうか決める際には、お住まいの地域の法令を理解しておくことが重要です。
自治体によっては、短期宿泊客を有料で泊める活動を規制する法律がある地域もあります。これらの法律は市の条例や都市計画法に含まれていることが多いです。物件掲載もしくはゲスト受け入れの前に登記・許可もしくは免許が必要になる自治体も多数あります。また、特定種別の短期賃貸を全面禁止していることもあります。こうした法の施行の仕方は各自治体によって大きく異なり、罰金その他の処罰が科せられることもあります。」
という記述があります。日本国内で行うにはホスト(貸主)の責任で旅館業法や各種法令を確認順守し行う必要があります。この他に海外では家主に対し無断で転貸借を行ったとして法律問題になった事例などもあります。

では民泊を行うには旅館業許可を取得すればという事ですが、現実的にマンション等の住居用建物で旅館業許可取得は困難を極めます。
旅館業法の規定では1室のみの旅館業は認めていない事や、フロントやロビー等各種構造基準を定めている事により、旅館業許可の取得は困難です。この様な旅館業法の基準は古いものであり、時代のニーズに合わせた見直しを行うべきではとの声もあります。
しかし、問題はこの旅館業法だけではありません。もっと重要な部分に建築基準法や消防法があります。
建築基準法や消防法で住居はある程度規制が緩和されている部分があるのですが、宿泊施設においてはかなり厳しい安全基準が設けられています。それでも数年に一度のペースで宿泊施設において火災が発生し多くの死傷者を出す事故が発生している実態もあります。
この様な状況下において宿泊施設に対する安全基準の緩和は現段階では到底行う事はできません。
また、マンション等住居施設でも消防法の問題は消防設備の増設等で費用は掛かりますが対応できるケースがあります。しかし、建築基準法上の問題は住居として建築された建物を宿泊施設に変更する事は不可能なケースが多く存在します。
避難用階段の数に違いがあったり、住居の場合は廊下等が容積率計算から除外されている部分が宿泊施設へ変更する事により加算され容積率オーバー、用途地域の問題等改善不可能な事も多くあります。

そもそも住宅と短期で人が入替る宿泊施設では安全上の問題や周辺へ与える影響等が異なります。
実際にマンションの1室で民泊させているケースで入居者と外国人宿泊者との間でトラブルになるケース等も増加しはじめています。
現在、各地域の議会で条例が可決されている国家戦略特区による民泊の緩和に関して、最低滞在日数が7日とされている部分に関しても、建築消防の問題等がクリアされていない事からこの様な規定が残されているといわれています。

この問題に関して行政側も問題意識はあるものの、無許可ホテル等大きな施設ではなくマンションの1室等である事から対象施設の把握が難しい事、対象数が多すぎる事から民泊を行っていても行政から何ら指摘を受けず業として民泊を続けている人が多いことも事実です。

しかし今後、民泊を行っている施設で火災等が発生し、死傷者等を出す事故が起きる様な事があれば一気に行政等の指導取締が強化される事は間違いありません。
早い段階で旅館業法だけでなく、建築基準法や消防法その他関係法令を含めた見直し議論を行い、安全性の配慮を最大限に行ったうえで現状と法の調整を行う事が必要かと思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月30日

風営法改正によるキャバクラ等の深夜営業

キャバクラ、麻雀、ゲームセンター等の風俗営業に関する営業時間規制は原則深夜0時まで、条例により午前1時まで延長可能とされていましたが、今年6月の法改正で条例により朝まで営業時間を延長する事が可能となりました。この事で風営法としてはキャバクラ等の深夜営業を認める形となりました。

しかし、現在各都道府県において示されている条例案では営業延長時間を午前1時までとしている都道府県ばかりで、実質的にキャバクラ等の風俗営業においては法改正施行後も深夜営業はできない事となりそうです。
勿論、条例はこれから正式可決していきますので、それまでに変わる可能性が0ではありません。

今回の改正による営業時間の見直しは結果として実態に反映されない法改正とも言える状態です。
何故この様な意味を成さない法改正が行われたのでしょうか。
この理由としてはダンス規制を削除するにあたり、現在の3号営業を
・10ルクス以上で0時までの営業(一般飲食店)
・10ルクス以下の営業(低照度飲食店・風俗営業)
・10ルクス以上で深夜の営業(特定遊興飲食店営業)
の3つに移行させる事となったのですが、低照度飲食店は風俗店であり深夜営業が現状認められていない事から法改正段階で条例により延長可能とし、10ルクスに満たない営業においても深夜ダンスさせる事を理論上可能にしました。
しかし、条例制定は短い期間で行う必要があり、新たに創設される特定遊興飲食店営業に関する立地規制の調整だけでも推進派、反対派の両面に対して行う必要があるなど、大変な状況になっている現状があります。その中で更に風俗営業の営業時間を延長するとなればダンス営業より圧倒的に多い社交飲食店等から生ずる影響等の検証や利害関係者等の調整作業が必要となり、現実的に難しい状況と思われます。

さらにダンス規制に関しては多くの人が深夜営業を求める声をあげたり、大阪や東京等では3号等の許可を有する事業者が業界団体を結成し営業の健全化に向けた取組等を実施してきました。
その一方、キャバクラ等の業界に関しては、そもそも今回の法改正に関する情報があまり伝わっていない事もあって、時間延長を求める様な陳情等もさほど行われていません。その結果、風俗営業に関する営業時間延長に関しては多くの議論すらされる事無く見直しが行われない見込みです。法律や条例等は求める人がいない限り緩和がされる事はないのです。

しかし、今回法律は改正されているので、今後各都道府県毎に事業者が連携し健全化に向けた取組を行い、各地域の住民や行政と対話を行う事等により、各都道府県の条例が見直される可能性は十分にあります。
また風俗営業を深夜帯に認める事は周辺環境等に悪影響だけでなく、無許可営業店や客引きの排除等にも繋がるとも考えられますので、今後一切見直しの余地が無い話ではありません。

なお、ダンスの深夜営業や風俗営業の営業時間延長は単に延長されるだけでなく、深夜帯の営業において周辺対策等に関する新たな義務が課さられた状態での営業となり、周辺住民等への配慮も行われた法改正となっています。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 風営法全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月28日

法改正で生まれる不公平

今年6月にダンス規制等見直しによる風営法改正が国会で成立しましたが、この改正により不公平が生じる可能性が高くなっています。

現行法ではダンスをさせ飲食をさせる営業は風俗営業の許可を取得して営業する事となっており、許可を受けた店舗の営業時間は原則深夜0時まで、一部地域で例外的に深夜1時までとされています。
今まではこの様に地域等による営業時間の差は1時間でした。

しかし今回の法改正により新たに設けられた「特定遊興飲食店営業」という深夜にダンスを含む遊興をさせ飲食(酒類)させる許可業種は営業が可能なエリアに大きな規制があります。
特定遊興飲食店営業として営業できないエリアにおいてダンスをさせる営業を行う場合、風俗営業等の許可は不要ですが営業は深夜0時までとなります。一方特定遊興飲食店営業に関しては現在条例案が出ている多くの都道府県において午前5時まで可能になる見込みです。
改正法施行後はエリアによって5時間の営業可能時間差が生じます。
特に可能エリアと不可能エリアの境界線付近では大きな問題が生じる恐れがあります。
極端な事例として道路を挟んで向かい合う店舗で片方は朝まで営業、片方は0時までの状態となった場合、お客さんは遅くまで利用できる店に早い時間帯から集中する事が想定されます。こうなればエリア外の店舗にとっては死活問題にも繋がります。

国としては今回の法改正では今まで可能であった営業時間帯(0時以前)までは今まで通り営業が可能であり、改正による損失は無いと考えておられるようですが、この様に店舗間における不公平が生じ、その結果損失を被る店舗が現れる可能性があります。
各地の条例可決まで残る時間も少なくなっていますが、法改正により不利益を被る事が無い様な条例整備がなされる事を願います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月20日

深夜にダンスができるのは一部地域のみ

今回の風営法改正により朝までダンスをさせる営業が可能となりました。
という様な報道等が多くされていますが、全てが完全に自由化されたわけではありません。

ダンスを行う営業は大きく3つに分けられる事になります。
【法改正によるダンス営業の分類】
・一般飲食店営業
深夜(0時〜6時)以外の営業で営業所内の照度が10ルクスを超える営業。

・低照度飲食店営業
原則として深夜(0時〜6時)以外の営業で営業所内の照度が10ルクスを下回る営業。

・特定遊興飲食店営業
営業所内の照度が10ルクス以上で深夜に酒を提供しダンス(遊興)をさせる営業。

基本的にこの3つの形態からお店にとって相応しい営業形態を選択して営業する事になるのですが、全てのお店が営業形態を自由に選択する事はできません。
その制約には様々なものがありますが、一番の問題に地域規制があります。

【業態毎の地域規制】
・一般飲食店営業
規制なし

・低照度飲食店
この営業は風俗営業であり、住宅街等以外で学校や病院から一定距離が離れている必要がある。
(詳細は都道府県条例による)

・特定遊興飲食店営業
大規模繁華街又はベイエリア等の住居が存在しない地域。
(詳細は都道府県条例による)

今一番議論されているのが深夜にダンス営業が可能な「特定遊興飲食店営業」の営業可能地位(営業所設置許容地域)です。
現在都道府県において条例制定に向けたパブコメ等が実施されていますが、多くの条例案において営業所設置許容地域は現在の風俗営業における営業延長許容地域(風俗営業が深夜1時まで可能な地域)と同等です。
(東京都等に関しては現在の営業延長許容地域に一部地域を追加)
現在の条例案の多くがこのまま可決した場合、各都道府県の中でも中心部の中の一部だけが朝までダンスをする事ができる店となります。
大阪府の場合、キタ(堂山、兎我野町、太融寺町、北新地等)、ミナミ(心斎橋、千日前、難波等)の繁華街だけとなり、この近年開発が行われている大阪駅北側や阿倍野天王寺エリア、比較的大規模な繁華街である京橋エリア等も全て対象外となりダンスを朝までする事はできません。
この様な状況にも関わらず、報道等ではダンスが自由化等と誤解を与える表現がなされている部分があるのが残念です。

また、10ルクスを下回る照度で営業を行う低照度飲食店に関して法改正では風俗営業そのものの営業時間延長を条例により可能としており、風営法の理論上は深夜に暗い店でダンスをさせる事が可能になりましたが、実際の条例案において風俗営業の時間延長を1時以降とする案は現在のところどの都道府県からも出ていない様で、この営業時間延長に関する法改正は現段階では実質効力が何ら生じない状態となっています。

今回の法改正〜条例改正における流れではダンス営業に関して実質的に大きな変化が生じたとは言えない状況にもあります。
この理由として1つ考えられる事が、法改正議論が通常では考えられないスピードで進められた事があると思います。特に法改正〜条例改正までの期間が短すぎます。
本来、法律が改正されたのちに下位法令(政令等)のパブコメが行われ下位法令が決定、その後に条例案が作られパブコメが実施、そして条例改正となる必要があるのですが、今回は下位法令のパブコメ期間中に各都道府県条例案のパブコメが多くの都道府県において実施されています。
このスピード感では議論や検証等の時間も不足し、大きな変化を伴う条例案を作る事は難しい部分もあろうかと思います。しかし、法律により法律の施行期限が定められている為、条例は無理やりにでも改正する必要があり、結果としてこの様な条例案になっている部分があると思われます。

この事で大事なことは、今回の法改正及び条例改正が行われたら全てがそれで終わりと捉えず、今回の改正は大急ぎで行ったものである事から改正後再度改めて様々な議論や検証を行い、今回の法改正の趣旨に合わせた各種整備を継続実施する必要があると思います。

なお、各都道府県の条例は現在未だ案の段階ですので、実際の条例制定段階において内容が変更される事はありますので、それまでに少しでも実態等に合う内容とされる事が理想ではあります。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月09日

神戸三宮で客引規制

10月1日付けで兵庫県は三宮北側地域を県条例に基づき客引全面禁止地域に指定しました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151002-00000058-san-l28

この様な条例は大阪等でも導入されています。
これにより風俗営業(キャバクラ等)以外の居酒屋やバーであっても客引行為は禁止されます。
ラベル:客引
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 歓楽街総合 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月18日

政令案等の概要

現在パブリックコメント中の風営法改正に伴う政令案等は、かなり内容が多く複雑な部分もありますので少しまとめてみました。
また随時この内容は必要に応じ追加修正していきます。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

風営法施行規則等改正に関するパブコメ開始

来年6月に施行が予定されている改正風営法に関する施行令等に関するパブコメが始まりました。

https://www.npa.go.jp/comment/index.htm

今回新たに創設された特定遊興飲食店に関する場所基準、照度計測方法、面積基準等の内容が盛り込まれています。
また、同時に特定遊興飲食店の解釈に関する意見募集も行われています。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 04:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 風営法全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月06日

風営法手続の手数料を誤徴収(静岡県)

9月3日、静岡県警によると無効な道路標識の設置による取締、風営法手続手数料の誤徴収、運転免許手数料の過少徴収と3件の事務手続ミスがあったと発表。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150904-00000008-at_s-l22

その中で風営法に関する部分は無店舗型性風俗特殊営業に関わる変更届手数料で、
通常は1500円のあるところを1900円の誤徴収。
この手数料は平成18年の改正時から発生しているが、その時の担当者によるミスがあった模様。

今回は県全域でのミスであるが、時折警察署担当者によって手数料額を誤るケースもあるので、
手数料の支払時には条例等で確認を行い納付する事が必要になるとも考えられます。

現状殆どの都道府県で同じ手数料額を採用していますが、手数料に関し風営法では各都道府県の条例によるとされている事から、支払う都道府県毎に手数料の確認を行う必要があります。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 風営法全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月21日

風営法改正によるダンス営業以外への影響(2)

ダンス規制問題による風営法改正案が平成27年6月17日に可決成立しました。
今回の改正はダンス規制の見直しによる部分が中心となっていますが、それ以外の部分においても改正点や影響を受ける部分があります。
ダンス営業以外への影響点を数回に分けてご紹介します。

2回目は「深夜遊興」

改正前の風営法では深夜における飲食店営業に関して、深夜客に遊興させる事を禁じていました。
これは「深夜酒類提供飲食店」等の酒を出す飲食店に限らず深夜に営業する飲食店全てに適用されていた規定です。
ここでいう「遊興」とは
・不特定多数の客に歌、ダンス、ショウ、演芸、映画その他の興行等を見せる行為。
・生バンドの演奏等を客に聞かせる行為。
・のど自慢大会等客の参加する遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為。
・不特定の客に対しカラオケを歌うことを勧奨する行為等。
等が警察庁が出している解釈運用基準にて示されています。
これらは客が自ら遊ぶ事をまでを禁じているのではなく、店側が積極的に遊び興じさせる事を対象としていました。
これに違反した場合は営業停止等に行政処分の対象となります。

今回の風営法改正において深夜飲食店において遊興をさせる事を禁じる規定は削除され、
深夜飲食店において客に遊興させる事は原則として自由化されました。

しかし、これには例外があり、
深夜客に遊興させる店で酒類を提供する場合は「特定遊興飲食店」となり、許可制の営業となります。
また、今回の改正により客にダンスをさせる行為は客に遊興させる行為の一部と解される事となりました。
この規定に反し、酒を提供しながら深夜客に遊興させる営業を無許可で行った場合は、懲役刑や罰金刑等の刑事処分の対象になります。


禁止行為だけで観点で考えれば改正前は、
・「深夜」+「飲食店」+「客に遊興させる」
この3つが重なる行為は一切禁止。

改正により
・「深夜」+「飲食店(酒なし)」+「客に遊興させる」
この場合は完全自由化
・「深夜」+「飲食店(酒あり)」+「客に遊興させる」
この場合は許可制となり、許可取得ができれば規制緩和となり、
許可が取得できない場合は従来通り禁止となります。
この観点で考えると改正前より規制部分が少なくなっている事から規制緩和であると考えられます。

しかし観点を変えれば、従前は違反しても刑事罰無し(行政処分はあり)から改正により違反した場合は刑事罰の適用となり規制強化とも考えられます。
ダンスに関してのみ考えれば改正前は風俗営業であり深夜の営業を行えば違反となっていましたが、改正により特定遊興飲食店となれば営業の自由度は大きくなりました。
ダンスに関係ない営業にとっても酒が無ければ深夜帯の自由化に繋がり、酒の提供があった場合でも許可制で営業が可能となり規制緩和と捉える事ができますが、罰則の観点で見れば刑事処分なしから刑事処分ありへの変更であり大幅な規制強化であるとも考えられます。


他にもダンス営業以外で法改正の影響を受ける部分はありますので、今後も引続きこのブログでご紹介します。


1回目の「営業時間」
http://fu-ei-hatena.seesaa.net/article/420919457.html

ラベル:遊興 規制緩和
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月24日

何故風営法改正で遊興が問題となっているか

今回の風営法改正により遊興という言葉が大きな問題となっています。今回の改正では設備を設け深夜にお酒を提供するお店で客に遊興をさせる場合は特定遊興飲食店営業として許可が必要とされました。許可制である事から無許可である場合には懲役や罰金等の刑罰を受ける事になります。
そもそも風営法では深夜飲食店(酒提供の有無を問わない)において客に遊興をさせる事は禁じられていました。ただ改正前の法律では刑事罰はありませんでした。今回の改正においては例外なく禁止であった深夜に遊興させる行為に関して酒類提供が無い場合は規制の撤廃、酒類提供のある場合には許可制での解禁として従前からの規制緩和であるいうのが国の見解です。
しかし、刑事罰の無かったものに対して刑事罰規定を設ける事は規制強化であるとの反論意見が多く出ている現状があります。その意見の中には今までやっていた営業ができなくなるとの声があります。ただ理論上では今までそもそも禁止されていた事なので新たに営業ができなくなるものが生じる事はあり得ないと考えられます。できなくなる事があると主張する事は罰則の有無を問わず現在違法状態があると主張してるとも受け取れます。
改正できなくなると主張されている事の例としてはフジロック等のフェスがあります。これをできなくなると考えるとフジロックは現状において多くの人が集まる違法イベントとなります。そもそも法に問題があろうとも大型イベントが違法状態である事は大問題です。他にもこの様な問題は各所において生じています。
ただこの問題はできなくなる事が理論上増えたのではない事から今回の法改正が原因ではありません。そもそも改正前の法律段階で遊興の定義における曖昧さや、その規制主旨が問題です。
元々深夜に飲食店で遊興を禁じている理由は本来人は深夜寝るものであるとの考え方から深夜静かに眠りたい人の邪魔をしてはならない等の主旨があります。そうであるならば寝ている人の邪魔とならない様な野外フェス等は規制の対象でないと考えるべきとなります。しかし現在警察庁が示している解釈においてはショーや生バンド等の演奏を聞かせる行為は遊興にあたるとされており、かなり幅がひろくなっています。なお、ここでいう解釈とは警察庁がだしている解釈運用基準であり、法律そのものではありません。この問題を解決するには解釈をより法の主旨に則り具体的に示す事が一番と思います。

この深夜遊興禁止規定は改正前あるにも関わらず何故今問題となっているのでしょうか。
深夜に遊興させる事を禁じている事は改正前から存在するわけであり、改正によりできなくなる営業は本来生じないはずです。しかし今問題となっている事には複数の原因があると考えられます。
先ずは今までこの規定の存在が広く理解されていなかった事です。従前から深夜遊興禁止規定が広く知られていたら、もっと前から深夜遊興禁止に関する議論がされていた可能性もありますし、元々これに該当する営業は行われていなかったと思われます。しかし今回法改正においてクローズアップされた事で、この規定に関して疑問を持つ人が増えた事により今となってこの問題が議論される結果になっています。
次に考えられる事として、深夜遊興禁止に関して深堀をし過ぎている事が考えられます。今まで深夜遊興禁止に関してはあまり深堀をした議論はなされていません。またこの規定違反で大きな事件は起きていません。深夜に飲食店で大騒ぎしており近所から苦情通報があった場合等には警察官がこの規定を利用して指導を行う等が主な運用であり実害が無ければ取り沙汰される事もあまりありませんでした。(深夜酒類提供飲食店営業の届出時に指導されるケースはあります)しかし今回の法改正時には営業者等が深夜遊興の具体的ケーキを沢山持ち出して議論を進めていくと、その多くが遊興に該当する恐れがあるとなっていき問題が広まっています。また、本来の定義なら該当しないものまでもが、該当すると広まり実際の規制よりも厳しい内容で世間に広まり問題が大きくなっている部分もあります。
最後に最大の問題は、ダンス規制改革において短期間でダンス規定だけを単純に取り除いた事が考えられます。元々風営法の構造は、飲食、接待、ダンス、遊興、遊戯等を様々な形で組合わせて構成されており、それらは脱法的行為を行う者にとって抜道を潜らせない状態となっています。そんな中で風営法からダンスという文言だけを取り除くという改正を行った為に今まで複雑に絡みながらもバランスが維持できていた構造が崩れる結果になりました。これにより脱法的行為の抜け穴も生じますが、過剰な規制が生じる事にも繋がります。
今回の法改正議論においては関係当事者からの意見聴取を実施したとの見解がありますが、基本的にはダンスに関係する者に限定されています。しかしダンスというのは風営法構造の中で一つの要素に過ぎず、そこにメスを入れるならば構造全体の見直しや検証が必要となります。勿論全体を見直すならばパチンコ等の遊戯業へも影響は必須ですが、そこを触れる事により改正議論への進展に影響を及ぼす恐れがあるとして、部分的な改正に止めたという説もあります。
もし全体を見直すならばダンス以外の関係当事者らにも意見聴取を行ったりする必要があるはずです。しかし、短期間でダンス規制問題を解決する事が優先され半ば強引にダンス部分だけの改正となりました。その結果、ダンスは遊興に定義され、さらには深夜のダンスは許可が必要との考えから、深夜遊興全てが許可制へと繋がりました。また、ダンス以外の部分においても若干の改正が行われていますが、ダンスに関係ない事業者からの意見聴取や周知は未だ全く実行されていない問題もあります。
今回の法改正は通常よりも極端に短い検討期間で実施されており、その結果当然の事ながら不具合が生じていると考える事ができます。

今回の遊興問題を含め風営法規制のあり方を整備するには、風営法全体構造からしっかり議論しなおす必要があると思われますので、今回の法改正が最終形とせず、この先もしっかり議論される環境が必要と考えます。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする