2017年05月06日

旅館業法等の規制緩和による偽装ラブホテル増加の恐れ

旅館業法は人を宿泊させる場合に必要な衛生的な基準を定めた法律です。また風営法にもホテルに関する規制があり青少年の健全育成や風俗秩序の維持を目的とした規制がなされています。
風営法のラブホテル規制は風営法第2条第6項第4号に定義されており、その中でも大きくはラブホテル、モーテル、レンタルルーム3つの業態を規制しています。
この中でモーテルは車庫と客室が直通で移動できるタイプの営業であり現在の旅館業法及び旅館業法の規制の中では法を遵守する限り新設する事はできませんので、ここでは説明を割愛します。またレンタルルームに関しては人の休憩の用に供する施設が大前提であり、人を宿泊させる営業(休憩利用やデイユースがあっても宿泊の営業を行なっている場合は人を宿泊させる営業も解す)で旅館業法に基づく許可を取得した場合には適用されない規定ですのでこちらも割愛します。
ここで本題として風営法のラブホテル規制ですが、旅館業法の中でホテル営業と旅館営業(旅館業法にはホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業が定義されている)を前提として規制が行われています。この理由を説明するには旅館業法の4つに分類されている規定を先ずは押さえる必要があります。

・ホテル営業
主に洋式の客室を用いた営業
・旅館営業
主に和式の客室を用いた営業
・簡易宿所営業
多人数が共用する客室を用いた営業
・下宿営業
1ヶ月以上の滞在を行う営業

これが旅館業法の根本的な規定です。
これを見れば簡易宿所営業においてラブホテルを行う事は現実的ではありません。何せ多人数が共用する客室ですから万が一、その中で性的な行為が行われれば公然猥褻等の別の問題が生じます。下宿営業においては1ヶ月以上も寝床を共にする者が利用するラブホテルはなかなか想定できません。この事から風営法におけるラブホテル規制はホテル営業と旅館営業を前提として考えられています。また本題とは異なり余談となりますが風営法の中で旅館業法に触れている部分として特定遊興飲食店営業におけるホテル等内適合営業所における規定では旅館業法の中でもホテル営業と旅館営業のみを対象としています。
ホテル営業と旅館営業に関しては最低客室数規定、帳場規定等が存在します。これに対して風営法では室内が性的好奇心をそそる様な仕様で食堂ロビーが一定面積に満たない場合や、客室案内板と鍵が連動しており客室において非対面で精算できる場合をラブホテルとして定義し年少者の立入り等の各種規制を行なっています。
しかし最近の民泊増加により簡易宿所の最低面積が延べ33平方メートルから人数×3.3平方メートルへと緩和された関係や、行政のオペレーションてきな緩和によりマンションの一室でも旅館業許可が取得できるケースが増えました。特に最近の簡易宿所営業に関しては本来の多人数共用の趣旨を見失い民泊等の小規模施設における許可取得の手段として行政側も運用している実情があります。本来であれば簡易宿所営業は大人数かつ見知らぬ人通しが同じ部屋に寝たり、仕切りはあっても鍵などの措置が無い空間(カプセルホテル等)が前提ですが、今では民泊で用いる様なマンションの一室を1組の客に占有させる事が可能な施設にも許可を出しています。また簡易宿所に監査しては自治体の条例にもよりますが帳場を設ける義務が存在しません。また厚生労働省もこれを推奨する流れになっています。現に民泊では帳場による鍵渡し以外のオペレーションを採用している所も多く存在します。
こうなれば何が起きるかと検討した際に、マンションの一室における実質的ラブホテル(偽装ラブホテル、類似ラブホテルと称されるケースが多い)営業が可能となります。マンションに一室において簡易宿所営業で旅館業法に基づく許可を取得し、対面以外による方法で客に利用させる事が合法的に可能となります。マンションでラブホテル営業をと考える人なんかいないと思われるかもしれませんが、今は通常の民泊を行なっていてもホテルの建築ラッシュや旅行客の減少が将来発生した際には、今は民泊の施設であってもラブホテルに転用される可能性は十分にあり得ます。この事は今の風営法規定ではカバーしきれません。
家の隣が突然実質的ラブホテルになったり、その様な施設が従業員と対面せずとも青少年が容易に利用できるホテルを作る事は今の民泊に対する法的緩和やオペレーション部分の緩和で容易になっています。

偽装ラブホテル問題に関しては長年に渡り各地で住民による反対活動等が行われた結果、風営法の改正や各自治体における旅館業法施行条例等の改正が行われました。訪日需要増加対策は当然に必要ですが、それによるマイナス部分もしっかりと検証した制度設計が必要ではないかと感じます。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 02:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月09日

民泊規制緩和VSラブホテル規制

国の規制改革により民泊等の旅館業法規制緩和が国レベルでは進んでいます。しかし実態としては思うように旅館業法(簡易宿所等)の許可は取得できません。この要因として建築基準法や消防法等の安全に関する規定があります。
更に問題となるのはラブホテル規制です。国レベルのラブホテル規制は風営法で行われていますが、ラブホテルの態様は地域により様々です国レベルの一律規制には限界があり、実質的な規制は自治体の条例等で行われています。
一般的な感覚として民泊OK、ラブホテルNGという規制の考え方に異論を唱える人は少なく、これが実現できればなんの問題も無いのですが、現実的にはこれが簡単ではありません。
昔はラブホテルといえば外観はお城の様な造りで、入口には大きなカーテン、フロントはあっても小さな小窓で、ロビーには部屋を選ぶ案内板、それを押せば部屋のランプが光り従業員に会わずともチェックイン完了、部屋に入れば回転ベットやらウォーターベット、部屋は鏡だらけのお風呂はガラス張り、料金の支払いは自動精算機やら古い所ではエアシューターといったのがラブホテルでした。
風営法ではこの様な構造や設備を一定の組合せで有しているホテルをラブホテルとして定義付け規制を行っています。
しかし最近のラブホテルはフロントに人がいて鍵などが手渡しされたり、部屋の作りもシンプルなものが増えています。ただ利用実態だけがラブホテルで構造や設備は一般のホテルと変わりがなくラブホテル規制の対象にならないケースが増加しています。利用実態だけでラブホテルの定義を行う事は難しい部分もあり、例えばカップルの利用が主となる事で定義すれば新婚旅行客が多いリゾートホテルまでもがラブホテルになりますし、休憩利用で定義をすれば最近増加傾向にあるビジネスホテルやシティーホテルでデイユースを行っているホテルまでもがラブホテルとして規制されてしまいます。勿論部屋の中でカップルが行っている行為を規制対象にする事もできません。
その結果生じた問題は偽装ラブホテル問題です。構造や設備が一般のホテルと変わりない事から規制の対象とならずにラブホテルの建築が学校の近所等でも行われる結果となりました。更に一般のカップルが利用するラブホテル以外にも性風俗店がサービス提供場所として使用するプレイルームもビルの一部で旅館業の許可を取得し営まれるケースも多発しました。

この問題を解決すべく各自治体は偽装ラブホテル対策として、国が定める旅館業法の基準以外に様々なホテル建築規制を行っています。その事例としては食堂の設置基準の強化、定員2名部屋の設置割合制限、簡易宿所での帳場設置義務、簡易宿所での一部屋あたりの最低定員を4名、帳場の規模基準の設定、シングルルームの設置義務化、シングルベッドの幅制限、また大阪市では一定の条件を満たさない宿泊施設は最低規模を100室とする等があります。これによりラブホテル(特に小規模で風俗店のプレイルーム化される様な施設)の対策は万全とは言えないものの大きく前進しました。
しかし近年の民泊やインバウンド向けホテルにおいては、この事がネックになる事態が生じています。民泊等とラブホテル、利用する人の意図は大きく異なりますが、施設の構造や設備は類似する点が多々あります。その事例を何点か検証してみると次の様になります。
・食堂に関して
民泊等の場合は施設規模が小さく施設内で食堂まで設置できないケースやツアー客が多く食事を施設内で行わないケースが多い。ラブホテルは食堂での飲食を行わない。
・帳場に関して
民泊の場合はマンション等をそのまま利用する事から帳場が存在しない。ラブホテルは一般のホテルとの様に大きな帳場を必要もしない。また自動精算機等の設置があれば帳場を必要としない。
・シングルルームに関して
インバウンド向け施設においては日本人向けのビジネスホテルの様なシングルルーム需要が少ない。ラブホテルにおいてはシングルルームは必要がない。
・施設規模
民泊は比較的小規模で運営される。ラブホテルの規模は20〜60室程度が運営上理想。実質的に性風俗店のプレイルーム化されている施設においては更に規模は小さい。
他にも共通点は多くありますが、各自治体が定めるラブホテル対策の規定は民泊運営で旅館業許可の取得時には抵触する可能性が高くなっています。だからと言って、民泊を推進する為にこれらの規制を撤廃すれば、今までなんとか抑えていた偽装ラブホテルに対しての規制を撤廃する事となり、今まで行ってきたラブホテル対策は意味をなさなくなります。
ラブホテルは性風俗店を経営する人達は既に民泊規制緩和を待ちわびているといった話もあります。ラブホテル等を運営する経営者さん達は従前より旅館業法等の規制や手続、宿泊施設の工事方法や消防法等を熟知していますので、民泊規制緩和で旅館業法等の緩和が行われれば真っ先に許可取得が完了するのは偽装ラブホテルではないかと思います。
特に今回の民泊規制緩和では小規模な施設の設置が可能になる可能性がありますので、一般のカップルが利用するラブホテルよりも、マンションや雑居ビルの数室で実質的には性風俗店のプレイルームといった小規模な施設で民泊を装った旅館業許可の取得が行われ、あらゆる場所が性風俗店のサービス提供場所となる恐れは否定できません。

国は自治体に対して小規模施設でも旅館業許可の取得を柔軟に対応する様に求めていますが、地域の治安に責任がある自治体としては、どのラインを落としどころにするかがポイントと思われます。
先般の風営法改正でもそうですが、各自治体の条例等は必ずしも国の意向と一致するとは限りません。地方分権等の観点から国と地方は上下関係ではありませんし、許認可権が自治体に存在するものに関しては規制緩和を行って問題が生じた場合の責任が自治体に生じる事からどうしても対応は慎重になります。
外国人旅行客の増加で宿泊施設が不足している事は事実であり自治体としても対応を苦慮している事も事実あり民泊受入れも検討課題ですが、建築基準法の容積率緩和で大規模ホテルの新築や増築が促進されていく事が理想といった事が自治体の本音の様です。

今後、規制緩和の方向へ進み民泊と共に偽装ラブホテルが増加し場合によっては住宅街のマンションの1室が風俗店になってしまうのか、それとも偽装ラブホテルや住宅施設内での風俗店は厳しく規制されるが合法民泊が普及しなくなるか、どちらに流れるのでしょうか。
理想論を言えばこの両方をうまく実現できる法規制が必要と思います。ところが、現在の民泊規制緩和議論で緩和を要求する側からこの提案がなされていません。
風営法改正の時に勉強しましたが、規制緩和を要求する場合、要求により他に別の問題が生じる事を想定し、その対策案を添えて自らの緩和要求をする必要があります。そこを行っていないと当該法令を所管する以外の官庁から指摘が入ったり、自治体が受入れを行わなかったりします。
実際に大阪では特区民泊に関して立入権が存在しない事から一度は条例が否決されています。
ルールを考える行政、議会、事業者、住民等全てがさらに広い視点で議論を行う段階かと思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月11日

簡易宿所営業の要件緩和により新たなラブホテル問題勃発か

現在、平成28年4月1日の施行を目指し旅館業法に規定される簡易宿所の最低面積要件緩和を行うべく旅館業法施行規則改正に関するパブリックコメントが開始されています。

現在、旅館業法に規定される簡易宿所営業においては客室の総面積33u以上が最低要件となっているところを、収容人員×3.3uへと改正し、小規模な施設においても簡易宿所として旅館業許可が取得できる見込みです。
これにより通称民泊と呼ばれる小規模な住居に人を宿泊させる場合に、旅館業許可を取得し営業を行う事が可能となります。
(但し、旅館業法は緩和されても消防法や建築基準法の緩和は安全上の観点から行われず、これらは従前通りの運用となります。)

しかし一方で、旅館業法が従来厳しい要件の基に運用されていた結果、極小規模な風俗店のプレイルームの様な施設においては旅館業法の許可が取得できませんでした。
風営法においては旅館業法の許可が取得できており人を宿泊させる施設においては一定の基準を超えた場合のみにラブホテルとして定義(法第2条第6項第4号)、旅館業の許可が無く人の休憩のみにしか用いれない施設において専ら男女を休憩させる場合はレンタルルームとして定義(法第2条第6項第4号・ラブホテルと同)しています。

今までは旅館業法に基づく許可のハードルが高く、旅館業許可の取得可能な施設は一定以上の規模を有する施設だけでした。
しかし今回の旅館業法施行規則改正による規制緩和で小規模な施設(集合住宅の1区画を含む)においても旅館業許可取得の可能性が広がりました。
それにより小規模な施設において旅館業許可を取得し、風営法の規定に抵触する設備等(自動精算機、ガラス張りの浴室、回転ベッド等)を設けなければ風営法の規制を受ける施設とはなりません。
勿論、今回の規制緩和の対象は簡易宿所(多人数が共用する施設)ですので、直接的にはラブホテルに影響しないとも考えられますが、施設の運用方法次第ではカップルの休憩利用や風俗店のプレイルーム用としての休憩利用も可能になる恐れがあります。
極端なケースとしては分譲マンションの1室が風俗店のプレイルームになる恐れがあります。
勿論、他の要件も存在する事から単純にこの様な施設ができるわけではありませんが、排除しきれない部分となります。

今まで旅館業法の規制においては偽装ラブホテル問題に関連して年々厳しくされていました。(旅館業法や、それに基づく条例等に限らず、自治体の建築条例等において規制している場合もあり。)
しかし、ここにきてラブホテル等問題の対策があまり深く議論されていない段階で旅館業法の規制緩和が実施されれば、新たなラブホテル(レンタルルーム)問題が生まれる可能性が否定できません。
ただ、今の宿泊施設不足や実質的には違法状態の民泊を放置する事もできない事を考えれば旅館業法の規制緩和は進むと思われます。
この問題を解決する為には、再び風営法上のラブホテル規制見直しを行う必要があると思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月27日

大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業

東京都大田区において外国人滞在施設経営事業の認定が1月29日より運用開始されます。
認定を受けた施設においては旅館業法の適用除外を受ける事になります。
認定申請を行うまでに消防等の手続や近隣周知等を行う必要がある為、申請を実際に行うまでには時間を要すると考えられます。
なお、下に記載の内容は1月27日実施の大田区説明会内容を元に作成しております。

【施設認定の要件】
・滞在期間
7日間以上
・居室面積
1居室は25u以上
・居室区画
区画は窓入口以外は壁造り
・施錠
出入口及び窓は鍵が必要
・台所
上下水道接続の流水設備及び調理できる場所が必要
・設備
換気、採光、照明、防湿、排水、冷暖房が必要
排水は下水道接続
冷暖房は室温調整可能なもの
・浴室
上下水道接続の流水設備及び浴槽
・便所
水洗座便式
手洗設備
温水洗浄便座は上下水道接続
・洗面設備
上下水道接続の流水設備
台所とは別に設ける
・器具
寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理器具、清掃用具
調理器具は電子レンジ、コンロ等の加熱器が必要
清掃用具は雑巾、ごみ箱、掃除機又はほうきちりとりが必要
・使用開始時における清潔な居室の提供
施設設備は清掃して使用させる
必要に応じて補修及び消毒を実施
廃棄物がないこと
調理器具や食器は洗浄した物を提供
敷布又はシーツ、布団カバー、枕カバー等は洗濯した清潔な物を提供
・施設の使用方法に関して注意事項が説明できる体制
施設内に設けられた設備の使用方法
騒音等により周辺に迷惑をかけないこと
火災等発生時の通報先等
廃棄物の処理方法
・緊急時の連絡先等を外国語にて提供できる体制
・消防法令の適合
建物全体として消防法令の適合が必要
・賃貸借契約(事業者と滞在者)
7日間以内の解約ができない旨が必要
・事業を行うにつき正当な権利を有すること
賃貸借物件の場合は転貸借可能な状態
・実施地域
第2種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
第1種住居地域(3,000u以下)
が実施可能
但し風致地区等で不可の場合あり

【添付書類】
・住民票の写し
・定款又は寄付行為及び登記事項照明
・賃貸借契約及びこれに付随する契約に関わる約款
外国語にて作成し日本語訳も必要
7日以内の解約できない旨を記載
滞在者は日本語又は対応可能外国語対応が出来る者である旨
日本に住所を有しない者は旅券、有する者はその他身分証明書を提示する旨
注意事項の厳守条項
対応可能外国語の種類
施設で提供する役務
・施設の構造及び設備の図面等
・滞在者名簿の様式
・使用権限疎明書類
賃貸物件の場合は賃貸借契約書及び転貸を承諾する書面
所有施設の場合は登記事項証明書
・近隣住民への周知を実施した内容
日時、氏名、住所、その他意見等
・消防法令に定める手続を行った事を証する書面

【事業開始までに必要な事業者の義務事項】
・使用権限に関して
賃貸物件の場合は賃貸契約書があり滞在者に転貸を承諾する書面を整備
・消防法令に関して
消防法令に適合させる
適合は当該部分だけでなく建物全体として適合が必要

【事業開始以降の事業者の義務】
・滞在者の本人確認
滞在者名簿を作成し3年以上保管
名簿には滞在期間、氏名、住所、職業、連絡先、国籍、旅券番号を記載
名簿の保管場所を明確にする
本人確認は旅券の提示を求める
滞在者が提示しない場合は最寄りの警察署等に連絡する等適切な対応を実施
滞在開始及び終了時は対面(映像等も可)により本人確認
・滞在期間中の使用状況確認
滞在期間中に施設の使用状況が適切か確認し不審点があれば警察へ通報
警察職員から名簿の
・苦情等への対応
近隣住民から苦情等があれば適切に対応
対応の記録を区に報告
・廃棄物の処理方法
事業系ごみとして処理
処理費用は全て有料
一般廃棄物と産業廃棄物を分別
滞在者に対しては外国語にて廃棄物処理方法を使用開始時に説明
・火災等発生時
使用開始時に外国語にて火災等発生時の通報先や対処法を説明
・施設玄関等(外部に向けて)に区より配布されるステッカーを掲示
緊急連絡先、施設名称、認定番号等が記載されている
・警察への捜査協力
認定事業者は警察から職務上名簿の閲覧請求があれば捜査関係事項照会書の交付有無に関わらず必要な範囲において応じる

【認定申請に先立ち事前に必要な協議等】
・生活衛生課(必須)
施設認定の要件確認等
・建築審査課(必要に応じて)
建築基準法に関する協議
必要な場合は確認申請を実施
・環境清掃管理課(必要に応じて)
事業系廃棄物に関する指導
・税務署(必要に応じて)
固定資産税に関する協議
・消防署(必須)
消防法令に関する事前指導
申請前に消防同意を取得
認定を受ける施設部分だけでなく建物全体での消防法令適合が必要
・近隣住民(必須)
同一建物内の他の使用者及び境界線が接する敷地にある建物使用者等が対象
事業者の氏名、施設の名称所在地、苦情等の窓口、廃棄物の処理方法、緊急時の対処法を書面にて周知

【認定申請の流れ】
・認定申請に先立ち事前に必要な協議等を全て実施
・認定申請を行う
・生活環境課による施設検査
・認定書の受領
・大田区ホームページに施設名称等が公表される
・事業開始
【固定資産税】
外国人滞在施設経営事業がなされる土地は住宅用地としての特例を受けれなくなる
タグ:民泊
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月11日

相次ぐホテル火災と民泊問題

今年に入り東京都新宿区でホテル火災が既に2件発生し、1件では死者を出す結果となっています。
宿泊施設における火災は発生すれば多くの死傷者を出す事が多く、この様な事故が発生するたびに消防当局の指導強化や、場合によっては消防法の改正が行われています。しかし、ホテル火災による犠牲者の発生は無くならない事から、今後も消防法令等の強化は続けられえると考えられます。また、消防法は建築基準法の既存不適格扱い(規制制定以前に建築されており、規制の制定により不適格な部分が生じたものの、増改築等を行うまではそのまま使用しても違法ではないとの考え方。)の様な考え方はなく、消防法が改正されたら随時適合させていく必要があるとされています。建物の所有者等からすれば大変厳しい法律ではありますが、人命には変えれない事から厳しい規制となっています。
民泊問題に関しても今春一部自治体で国家戦略特区法に基づきスタートする外国人滞在施設に関して建築当局は住居施設と看做して運用するとの見解に対し、消防当局は空住居を使用した施設であっても消防法上は宿泊施設であるとの判断を示しています。(建築、消防行政は地方行政である事から、地域により見解の差異があります。)
外国人滞在施設の認定申請を受ける事により旅館業法の適用を除外され、建築基準法上も宿泊施設として看做さない事から建築基準法に基づく用途変更等は不要となります。しかし、この場合でも消防法上は宿泊施設であり施設によってはスプリンクラーの設置、火災通報装置の設置、防火管理者の設置、宿泊施設に適合する消防計画の提出等が必要となります。この事は民泊施設の運営に関しては現実的でない部分もあり、消防法上の規制緩和等を求める意見もありましたが、ここへ来て相次ぐホテル火災が発生したことにより民泊施設に対する消防の規制緩和は見送られる可能性が高いと思われます。
住居の空室対策、増加する旅行客に対する宿泊施設の提供問題がありますが、やはり人命第一の観点から消防法上は一般のホテルであれ民泊であれ住み慣れていない人が一時的に宿泊する施設には基準の厳しい規制が必要と考えられます。
タグ:民泊 火災
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2015年11月03日

何故旅行客が増えているのに旅館業の規制緩和がされないのか

風営法に直接関係ない部分もありますが、今話題の「民泊」に関して。

外国人等の観光客が増加し、各地で宿泊施設不足が問題となっています。

宿泊施設は旅館業法に基づき許可を取得する必要があります。
また、建築基準法や消防法においては宿泊施設としての設備等を備える必要があります。
しかし、宿泊施設不足が問題となるなかで「民泊」と言われるマンション等の空室を旅行客に提供する行為が急増しています。
そもそもこの事は合法なのでしょうか?
旅館業法の規定では
@施設を設け
A宿泊料を受け
B宿泊させ
Cこれを業として
この4つ全てが重なった場合に旅館業法として許可が必要と考えられています。
なお、ここでいう「宿泊」とは寝具等を使用して施設を利用すると定義されていますので、布団やベッドが客室に存在し、客がそれを利用する状態と解されます。また、業としての部分は、同じ施設において継続的に宿泊させる状態と解されます。
本来民泊とは個人宅に宿泊するという意味ですので、家の主が不在の日に家を貸したり、家の中の空いている部屋に旅行者を宿泊させたりする事です。これを民泊用にマンション等を所有し、旅館業法許可を取得せず旅行客等を宿泊させることは旅館業法違反になると解する事が出来ます。

民泊で有名な「Airbnb」のヘルプには
「Airbnbでホストを始めるかどうか決める際には、お住まいの地域の法令を理解しておくことが重要です。
自治体によっては、短期宿泊客を有料で泊める活動を規制する法律がある地域もあります。これらの法律は市の条例や都市計画法に含まれていることが多いです。物件掲載もしくはゲスト受け入れの前に登記・許可もしくは免許が必要になる自治体も多数あります。また、特定種別の短期賃貸を全面禁止していることもあります。こうした法の施行の仕方は各自治体によって大きく異なり、罰金その他の処罰が科せられることもあります。」
という記述があります。日本国内で行うにはホスト(貸主)の責任で旅館業法や各種法令を確認順守し行う必要があります。この他に海外では家主に対し無断で転貸借を行ったとして法律問題になった事例などもあります。

では民泊を行うには旅館業許可を取得すればという事ですが、現実的にマンション等の住居用建物で旅館業許可取得は困難を極めます。
旅館業法の規定では1室のみの旅館業は認めていない事や、フロントやロビー等各種構造基準を定めている事により、旅館業許可の取得は困難です。この様な旅館業法の基準は古いものであり、時代のニーズに合わせた見直しを行うべきではとの声もあります。
しかし、問題はこの旅館業法だけではありません。もっと重要な部分に建築基準法や消防法があります。
建築基準法や消防法で住居はある程度規制が緩和されている部分があるのですが、宿泊施設においてはかなり厳しい安全基準が設けられています。それでも数年に一度のペースで宿泊施設において火災が発生し多くの死傷者を出す事故が発生している実態もあります。
この様な状況下において宿泊施設に対する安全基準の緩和は現段階では到底行う事はできません。
また、マンション等住居施設でも消防法の問題は消防設備の増設等で費用は掛かりますが対応できるケースがあります。しかし、建築基準法上の問題は住居として建築された建物を宿泊施設に変更する事は不可能なケースが多く存在します。
避難用階段の数に違いがあったり、住居の場合は廊下等が容積率計算から除外されている部分が宿泊施設へ変更する事により加算され容積率オーバー、用途地域の問題等改善不可能な事も多くあります。

そもそも住宅と短期で人が入替る宿泊施設では安全上の問題や周辺へ与える影響等が異なります。
実際にマンションの1室で民泊させているケースで入居者と外国人宿泊者との間でトラブルになるケース等も増加しはじめています。
現在、各地域の議会で条例が可決されている国家戦略特区による民泊の緩和に関して、最低滞在日数が7日とされている部分に関しても、建築消防の問題等がクリアされていない事からこの様な規定が残されているといわれています。

この問題に関して行政側も問題意識はあるものの、無許可ホテル等大きな施設ではなくマンションの1室等である事から対象施設の把握が難しい事、対象数が多すぎる事から民泊を行っていても行政から何ら指摘を受けず業として民泊を続けている人が多いことも事実です。

しかし今後、民泊を行っている施設で火災等が発生し、死傷者等を出す事故が起きる様な事があれば一気に行政等の指導取締が強化される事は間違いありません。
早い段階で旅館業法だけでなく、建築基準法や消防法その他関係法令を含めた見直し議論を行い、安全性の配慮を最大限に行ったうえで現状と法の調整を行う事が必要かと思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする