2018年04月20日

ダンスではなく深夜遊興

今再びDJがいて客にダンスをさせるクラブ等に対し取締や指導が相次いでいます。平成28年6月23日に風営法が改正されてからもうすぐ2年が経過します。
その状況において再びダンスさせた事に対しの規制として議論が再燃しそうな感じなのですが、今の規制はダンス規制ではありません。今の規制は深夜に酒を出しながら遊興させる事に対する規制です。
うちはDJバーでダンスはさせていない、ダンスをさせるスペースは無い等としての店側の反論も多く出ていますが、あくまでも今の規制は遊興をさせる事です。生でDJがプレイしたりバンドの生演奏を聴かせれば遊興に該当し、それが深夜で酒を伴っていれば規制の対象となります。
法改正以前は時間を問わずダンスをさせる行為は許可制として規制されていましたし、酒を伴わなくても飲食店では深夜に遊興させる事に関しては全面禁止だった事を勘案すれば以前よりは緩和されてはいます。また法改正においては主にダンス規制の見直しで今の特定遊興ができており、本来ダンスを伴わない遊興に関して条文上は勿論該当するものの、事実上はダンスを伴う営業に対するものとされていました。
しかし法改正から2年が経てば状況は変わってきます。法改正前や改正の時の事を知っている警察官の多くはもう異動して、これらの規制担当から離れている実情があります。そうなれば過去の経緯の問題ではなく、現に存在する法律と現場を照らし合わせて運用されていきます。
店側として法に触れる事なく営業を行なっていると主張する際に、うちはダンスはさせてない!と主張しても生演奏してたから遊興はさせてたよねとして警察に検挙される事は今後起こり得ます。ただ警察官でも未だダンス規制だという認識で指導している人もいるとは思われます。
今はダンス規制ではありません、ダンスが良いとか悪いではありません。音楽を聴かせたりするだけの行為やその他楽しませる行為も遊興として規制の対象(但し深夜にお酒を出しながらに限る)です。ここを取締る側も店側もきちんと認識して運用や議論を行う事が今後重要になると思われます。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 12:42| Comment(0) | ダンス規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月29日

特定遊興無許可 法改正後初の摘発

平成28年6月23日の風営法改正により
深夜客に酒類を提供しながら遊興をさせる営業に関し
【特定遊興飲食店営業】
として従前は禁止されいた飲食店における深夜遊興が一部許可制で解禁されました。

平成30年1月29日に東京都渋谷区のクラブで許可を得ずに
これらの営業を行っていたとして風営法違反(無許可)で
経営者らが警視庁により逮捕されました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180129-00000041-mai-soci

この摘発は法改正以降初の摘発です。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 13:18| Comment(0) | ダンス規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月15日

ダンスをさせる営業に関する有識者会議の報告書に関して

先日公開されたダンス規制見直しに関する有識者会議「風俗行政研究会」の報告書を見ると、4号営業は制度として廃止、3号営業(クラブ営業等)に関しては大きく3つのカテゴリに分類する事が望ましいとの内容でした。
その概要は以下の通りです。

・一般飲食店営業
深夜の営業が無く、照度(店内の明るさ)が10ルクス以上。
なお、現在の風俗営業の規定からダンス削除が前提であるのでダンスは可能。
・深夜遊興飲食店営業
深夜の営業でダンス等を行う営業。照度が10ルクス以上。現行法には存在しない営業形態。
・低照度飲食店営業(風俗営業)
照度が10ルクスに満たない営業。現行法第2条第1項第5項に規定される営業。改正後ダンスは可能。

なお、現行法の考え方では

・一般飲食店営業
深夜の営業が無く、照度は10ルクス以上で、ダンスは不可。
・深夜飲食店営業
深夜の営業。照度は20ルクス以上でダンスや遊興は不可。酒類の提供を伴う場合は深夜酒類提供飲食店営業。
・ダンス飲食店営業(3号営業)
深夜の営業がなく、照度は5ルクス以上。ダンスは当然可能。
・低照度飲食店営業
深夜の営業はなく、照度が10ルクスに見たない営業。ダンスは不可。

となっています。

この意見で先ず注目すべきは風営法からダンスと言う文言が消える事です。そして原則的にはダンスを行う飲食店は普通の喫茶店やレストラン同様に一般飲食店になる事です。また飲食を伴わないダンス営業は法の定義から外れる事になります。これによりダンスがあっても無くても法律上は何等左右される事は無くなります。
しかし、一般飲食店となったからには一般の飲食店が受ける規制は全て受ける事になります。

先ずは時間の規制です。飲食店を深夜に営業する場合は深夜飲食店となりますが、ここでは遊興行為が禁止されています。一般の飲食店と同じ規制をダンスを行う飲食店は受ける事になる中でここが問題となります。
では、そもそも風営法上の遊興とは何を指すのでしょうか。警察庁が示している風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律解釈運用基準では、
・不特定多数の客に歌、ダンス、ショウ、演芸、映画その他の興行等を見せる行為。
・生バンドの演奏等を客に聞かせる行為。
・のど自慢大会等客の参加する遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為。
・不特定の客に対しカラオケを歌うことを勧奨する行為等。
が遊興行為の具体例として列挙されています。ダンスに関しては現行法では風俗営業として定義されていた関係でそもそも深夜飲食店において行える行為では無いことから列挙されていませんでした。この風営法でいう深夜における遊興禁止の意味合いは、深夜は休息の時間帯であり基本的にはおとなしく飲食だけをして下さいと言った考え方です。
今回の有識者会議による報告書ではダンスをさせる行為は遊興行為に該当すると考えられています。確かに生バンドの演奏やダンスを見せる行為が遊興となるならばダンスをさせる行為は遊興行為であると言えます。
そうなると一般飲食店となるダンスをさせるクラブは深夜にダンスをさせる営業はできなくなります。また今は風俗営業許可を取得し繁華街の特例地域にて午前1時まで営業しているお店も、この深夜遊興禁止規定に抵触し0時までの営業になってしまいます。
しかし有識者会議の報告書によると新たに「深夜遊興飲食店営業」と言った業態を定義し、許可を受けた営業所は深夜遊興禁止規定を除外する考え方です。これにより深夜にダンスをさせる事は勿論、生バンドやゲーム大会等、今まで深夜に行う事が禁止されていた営業が可能となります。但し、原則的に深夜は休息の時間帯であるとの考え方があるので、この深夜遊興飲食店営業の認められる場所は繁華街等の限られた範囲になると考えられます。
この深夜遊興飲食店営業の新設は今まで認められなかった深夜遊興行為を許可制で可能とする規制緩和ではありますが、現行法において深夜遊興禁止規定を違反しても刑事罰は科せられない規定でしたが、この深夜遊興飲食店営業が許可制になった中で許可を受けない飲食店が深夜遊興行為を行えば無許可営業罪に問われる事になるので注意が必要と思われます。

次に照度の規制です。原則として飲食店は営業所の照度を10ルクス以上に保つ必要があります。この規定が緩和される営業は1号2号3号5号の何れかの風俗営業許可を受けた店に限られています。これらの風俗営業許可を受けている営業所は最低照度を5ルクスまで下げる事が可能となります。逆にこれら以外の飲食店は一切10ルクス以下の照度で営業する事は認められません。
今現在3号の許可を受けて営業しているクラブは風営法からダンス規定が削除される事により、今まで認められていた5ルクスは認められなくなり、一般の飲食店という事で10ルクスを維持する必要が生じます。
今までクラブは風俗営業として規制もしていたが、風俗営業者に対する緩和もしていました。今回の報告書の考え方としては風営法からダンスと言う規制を外し自由化をする代わりに、ダンスだからといって照度緩和する等の特別配慮もしないといった考え方でしょうか。今まではプラスもマイナスも特別扱い、今後はプラスもマイナスも特別扱いしないみたいな感じです。
これにより今5ルクスの照度基準に合わせて営業しているお店は、10ルクスに対応する改修工事が必要となります。また、10ルクスの照度とは現在営業されているクラブの多くよりもかなり明るい状態となります。
これに対して今までのクラブ営業と同様に5ルクスで営業を続ける為には5号営業(低照度飲食店)としての風俗営業許可を取得する必要があります。この許可を取得する事により5ルクスでの営業が可能となりますが、風俗営業としての各種規制を受ける事になります。
しかし、現行法での5号営業は深夜0時(繁華街の中心部等は午前1時)以降の営業が禁止されていますが、今回の報告書ではこれら営業に関しても地域の実情に応じて住民の意思を確認したうえで営業時間の緩和を行う事も記載されています。
なお、今までの3号営業で照度を5ルクス以下として営業していた場合は照度基準違反として処分される場合がありましたが、この報告書案の通り改正されて5号営業を取得せず10ルクス以下の営業を行った場合には無許可営業罪に問われる事となります。

今回の「深夜遊興」と「低照度」に関しては、そもそもダンス等を規制する為の基準ではない事から、これら基準によって規制すべきでないとの考え方もあります。
しかし、これら深夜遊興と低照度に関して、現行法においてダンスに関係なく存在している規定です。風営法からダンスという基準を外す事により、ダンスだからと言ってこれらの基準を適合しない理由も無くなってしまいます。
今回の報告書内容に関して更なる議論を行うにはダンス問題とは別に「深夜遊興」や「低照度」といった風営法のそのものの規制方法全般に関して見直す議論が必要になる可能性はあります。
通常、法改正等により有識者会議が開催される場合は半年間程度開催され、そこから実際に法改正を行うまでには半年から数年を要する事が多い中、今回有識者会議の開催期間は2カ月間であり、有識者会議の開催から実際の法案提出までの期間が合計で半年に満たないスケジュールになっています。
ダンス規制に関する問題が広がっていく中で、今秋の臨時国会で閣法にて改正案提出といった強行スケジュールだけが先に決定され、本来の法改正検討等に必要な期間が全く確保できていない状況での議論になっています。
本来であればダンス規定を削除し、その代り他の規定(遊興や照度)をそのまま当てはめるのではなく、更なる本来あるべき姿や、風営法そのものの考え方を総合的に議論すべきかと思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ダンス規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月25日

風営法によるダンス規制に関する意見公募開始

平成26年7月25日、警察庁生活安全局保安課より”「客にダンスをさせる営業に関する風営法の規制の見直しに当たって考えられる論点」に対する意見の募集について”として意見公募手続が始まりました。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120140010&Mode=0

通常、パブリックコメントは30日間実施される事が多いですが、今回は8月7日までと短い募集期間になっています。秋の臨時国会に改正案を提出する流れがあり、法案作成等に関する作業時間の短さが現れています。
また通常は改正案等が完成してから意見公募する形が多いですが、今回は検討段階での意見募集になっています。

この意見提出は団体や個人を問わず誰でも提出する事が可能です。提出は電子メールやFAXでも可能ですので、この問題に関心のある方は意見を出されてみてはいかがでしょうか。

見直しに関する論点は
・3号営業に関し風俗営業から除外する事に関して
・3号営業に関する営業時間規制緩和に関して
・ダンス営業以外の営業時間規制の在り方に関して
・4号営業に関し風俗営業から除外する事に関して
・4号営業を規制から外した場合で問題のある営業が出現した場合の措置に関して
・1号営業を2号営業に含めて規制する事に関して
が示されており、この論点に対する意見募集となります。
他の論点を意見したい方もおられるでしょうが、警察庁としてもある程度論点を絞り込んで意見募集をしなければ、実際問題まとめる事が時間的にも厳しいのでしょうね。

posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 02:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ダンス規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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