新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で飲食店においては感染防止対策を強いられている状況が続いています。
今回は行政書士雨堤孝一がコロナ対策と風営法の関連について書きます。
飲食店におけるコロナ対策では検温、手指消毒、換気等様々なものがありますが、一番苦慮されているのがソーシャルディスタンスです。人と人の距離を確保するか、人と人の間に飛沫防止の対策を講じる事となります。限られた店内スペースで人と人の距離を大きく確保すれば店としての集客人数を大幅に減らす事となり売上の大きな減少に繋がります。これを少しでも防ぐには人と人の間に仕切を設けて飛沫防止対策を講じる事となります。
その際に注意して頂きたいのが風営法です。接待を伴ったり深夜において酒類を提供する営業で無ければ、そもそも風営法の対象店舗では無いので関係無いと思われる方も多いですが風営法の第2条第1項第3号では区画席飲食店が定義されており、1つの客室が5平方メートルに満たない場合は風俗営業に該当するとされています。飛沫防止とはいえ5平方メートルに満たない小さな個室を設けて飲食を風俗営業許可を取得せずに行えば無許可営業として処罰の対象になります。客席と客席の間を仕切る場合は中が見えない部屋の様な状態とならない様に飛沫感染リスクのある部分にだけ仕切を入れる等の対策が必要です。もっとも、各席を完全に部屋の様な状態にする事は換気上の障害も発生する恐れがありますので注意して下さい。
なお、風俗営業、特定飲食店営業での飛沫防止対策に関してですが、本来これらの営業で客室内に物を設置すれば変更届、仕切設備の設置等変更は構造変更承認を受ける必要があります。また、客室内に仕切り板等の見通しを妨げる恐れがある設備を設ける事はできませんが、新型コロナウイルス感染拡大防止策として行われる事に限り、無色透明の素材で工事を伴わず簡易に設置できて容易に取外しできる場合に限り風営法上は何ら手続を行う必要がありません。