2020年07月20日

風営法の立入調査

ニュース報道では夜の街の店舗に対して官房長官が現行の風営法に基づき立入調査し、感染防止対策の指導等を行うと報じられていますが、この立入調査は風営法では次のように規定されています。

【風営法】
第三十七条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

また、警察庁が定める解釈運用基準では
第36中1(1)
立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならない。したがって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできない。例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない。
また、立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない。

と規定されています。

更に過去の国会における政府答弁でも
「・・略・・他の法律の実施の確保に必要なためには立入りはできない・・略・・」
(昭和33年2月衆議院法務委員会)
といった経緯があります。

先ず、立入に関しては警察官が立入証と呼ばれる身分証(警察手帳とは別)を示す必要があります。
この証書は立入を職務とする警察官が保持しており、持っていない警察官が突然警察手帳で入る事はできません。
勿論、警察官の職務執行として犯罪が行われている場合等は、その為に店内に入る事は可能です。

立入は営業の妨げを行ってはならず、客のいる客室等への立入は慎重に行う必要があります。

今回の新型コロナウイルス感染拡大防止の為に、各事業者団体が策定したガイドラインは公衆衛生上の目的であり、更に法で規定されたものではありませんので、風営法を根拠に当該指導を行う事はできません。
このあたりの運用解釈等を今後見直していくのかがポイントになると思います。
ラベル:コロナ 立入
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 12:14| Comment(0) | 風営法全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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