2017年08月26日

性風俗店の相続

風営法上適法に店舗型の性風俗店を営む者が亡くなった場合、その営業は相続人が相続して適法に営む事は風営法上可能なのか?との問いに対して答えは不可となります。風営法において性風俗店に関しては届出制を採用していますが、これらに対しては相続の規定が存在しません。よって営業者が亡くなった場合、それを引継ぐ者が新たに届出を行なって営業を行なう必要がありますが、その時点で当該場所が店舗型性風俗店禁止地域等に該当する場合はもう営業を行なう事はできません。
実際のところ各都道府県条例により店舗型性風俗店は全国多くの地域で営業禁止とされており、条例による規制以前から営む店舗のみが既得権的に営業を行なっている状況です。この様な場合、営業者が亡くなればその店舗の営業は終了する事になります。
時折、弁護士や税理士に店舗型性風俗店の相続相談をされた事がある方からは、相談して相続人が引継ぐ事が可能であると教えられたと言う方がおられます。これは風営法の中に相続に関する規定(*1)があり風俗営業者が亡くなった場合は相続の手続ができると記されているからです。しかしこれが風営法の言葉がややこしい部分であり、風営法で風俗営業者とは社交飲食店やパチンコ等の許可制営業の営業者(*2)をいい、性風俗店等は風俗営業とは記さず性風俗特殊営業等として区別されていますのでご注意ください。


【以下条文引用】
(*1)
第七条  風俗営業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該風俗営業を承継すべき相続人を定めたときは、その者。以下同じ。)が被相続人の営んでいた風俗営業を引き続き営もうとするときは、その相続人は、国家公安委員会規則で定めるところにより、被相続人の死亡後六十日以内に公安委員会に申請して、その承認を受けなければならない。

(*2)
第二条第二項  この法律において「風俗営業者」とは、次条第一項の許可又は第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けて風俗営業(*3)を営む者をいう。

(*3)
第二条  この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一  キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二  喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三  喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四  まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五  スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
ラベル:相続
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 19:39| Comment(0) | 性風俗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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