2017年05月06日

旅館業法等の規制緩和による偽装ラブホテル増加の恐れ

旅館業法は人を宿泊させる場合に必要な衛生的な基準を定めた法律です。また風営法にもホテルに関する規制があり青少年の健全育成や風俗秩序の維持を目的とした規制がなされています。
風営法のラブホテル規制は風営法第2条第6項第4号に定義されており、その中でも大きくはラブホテル、モーテル、レンタルルーム3つの業態を規制しています。
この中でモーテルは車庫と客室が直通で移動できるタイプの営業であり現在の旅館業法及び旅館業法の規制の中では法を遵守する限り新設する事はできませんので、ここでは説明を割愛します。またレンタルルームに関しては人の休憩の用に供する施設が大前提であり、人を宿泊させる営業(休憩利用やデイユースがあっても宿泊の営業を行なっている場合は人を宿泊させる営業も解す)で旅館業法に基づく許可を取得した場合には適用されない規定ですのでこちらも割愛します。
ここで本題として風営法のラブホテル規制ですが、旅館業法の中でホテル営業と旅館営業(旅館業法にはホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業が定義されている)を前提として規制が行われています。この理由を説明するには旅館業法の4つに分類されている規定を先ずは押さえる必要があります。

・ホテル営業
主に洋式の客室を用いた営業
・旅館営業
主に和式の客室を用いた営業
・簡易宿所営業
多人数が共用する客室を用いた営業
・下宿営業
1ヶ月以上の滞在を行う営業

これが旅館業法の根本的な規定です。
これを見れば簡易宿所営業においてラブホテルを行う事は現実的ではありません。何せ多人数が共用する客室ですから万が一、その中で性的な行為が行われれば公然猥褻等の別の問題が生じます。下宿営業においては1ヶ月以上も寝床を共にする者が利用するラブホテルはなかなか想定できません。この事から風営法におけるラブホテル規制はホテル営業と旅館営業を前提として考えられています。また本題とは異なり余談となりますが風営法の中で旅館業法に触れている部分として特定遊興飲食店営業におけるホテル等内適合営業所における規定では旅館業法の中でもホテル営業と旅館営業のみを対象としています。
ホテル営業と旅館営業に関しては最低客室数規定、帳場規定等が存在します。これに対して風営法では室内が性的好奇心をそそる様な仕様で食堂ロビーが一定面積に満たない場合や、客室案内板と鍵が連動しており客室において非対面で精算できる場合をラブホテルとして定義し年少者の立入り等の各種規制を行なっています。
しかし最近の民泊増加により簡易宿所の最低面積が延べ33平方メートルから人数×3.3平方メートルへと緩和された関係や、行政のオペレーションてきな緩和によりマンションの一室でも旅館業許可が取得できるケースが増えました。特に最近の簡易宿所営業に関しては本来の多人数共用の趣旨を見失い民泊等の小規模施設における許可取得の手段として行政側も運用している実情があります。本来であれば簡易宿所営業は大人数かつ見知らぬ人通しが同じ部屋に寝たり、仕切りはあっても鍵などの措置が無い空間(カプセルホテル等)が前提ですが、今では民泊で用いる様なマンションの一室を1組の客に占有させる事が可能な施設にも許可を出しています。また簡易宿所に監査しては自治体の条例にもよりますが帳場を設ける義務が存在しません。また厚生労働省もこれを推奨する流れになっています。現に民泊では帳場による鍵渡し以外のオペレーションを採用している所も多く存在します。
こうなれば何が起きるかと検討した際に、マンションの一室における実質的ラブホテル(偽装ラブホテル、類似ラブホテルと称されるケースが多い)営業が可能となります。マンションに一室において簡易宿所営業で旅館業法に基づく許可を取得し、対面以外による方法で客に利用させる事が合法的に可能となります。マンションでラブホテル営業をと考える人なんかいないと思われるかもしれませんが、今は通常の民泊を行なっていてもホテルの建築ラッシュや旅行客の減少が将来発生した際には、今は民泊の施設であってもラブホテルに転用される可能性は十分にあり得ます。この事は今の風営法規定ではカバーしきれません。
家の隣が突然実質的ラブホテルになったり、その様な施設が従業員と対面せずとも青少年が容易に利用できるホテルを作る事は今の民泊に対する法的緩和やオペレーション部分の緩和で容易になっています。

偽装ラブホテル問題に関しては長年に渡り各地で住民による反対活動等が行われた結果、風営法の改正や各自治体における旅館業法施行条例等の改正が行われました。訪日需要増加対策は当然に必要ですが、それによるマイナス部分もしっかりと検証した制度設計が必要ではないかと感じます。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 02:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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