2015年11月03日

何故旅行客が増えているのに旅館業の規制緩和がされないのか

風営法に直接関係ない部分もありますが、今話題の「民泊」に関して。

外国人等の観光客が増加し、各地で宿泊施設不足が問題となっています。

宿泊施設は旅館業法に基づき許可を取得する必要があります。
また、建築基準法や消防法においては宿泊施設としての設備等を備える必要があります。
しかし、宿泊施設不足が問題となるなかで「民泊」と言われるマンション等の空室を旅行客に提供する行為が急増しています。
そもそもこの事は合法なのでしょうか?
旅館業法の規定では
@施設を設け
A宿泊料を受け
B宿泊させ
Cこれを業として
この4つ全てが重なった場合に旅館業法として許可が必要と考えられています。
なお、ここでいう「宿泊」とは寝具等を使用して施設を利用すると定義されていますので、布団やベッドが客室に存在し、客がそれを利用する状態と解されます。また、業としての部分は、同じ施設において継続的に宿泊させる状態と解されます。
本来民泊とは個人宅に宿泊するという意味ですので、家の主が不在の日に家を貸したり、家の中の空いている部屋に旅行者を宿泊させたりする事です。これを民泊用にマンション等を所有し、旅館業法許可を取得せず旅行客等を宿泊させることは旅館業法違反になると解する事が出来ます。

民泊で有名な「Airbnb」のヘルプには
「Airbnbでホストを始めるかどうか決める際には、お住まいの地域の法令を理解しておくことが重要です。
自治体によっては、短期宿泊客を有料で泊める活動を規制する法律がある地域もあります。これらの法律は市の条例や都市計画法に含まれていることが多いです。物件掲載もしくはゲスト受け入れの前に登記・許可もしくは免許が必要になる自治体も多数あります。また、特定種別の短期賃貸を全面禁止していることもあります。こうした法の施行の仕方は各自治体によって大きく異なり、罰金その他の処罰が科せられることもあります。」
という記述があります。日本国内で行うにはホスト(貸主)の責任で旅館業法や各種法令を確認順守し行う必要があります。この他に海外では家主に対し無断で転貸借を行ったとして法律問題になった事例などもあります。

では民泊を行うには旅館業許可を取得すればという事ですが、現実的にマンション等の住居用建物で旅館業許可取得は困難を極めます。
旅館業法の規定では1室のみの旅館業は認めていない事や、フロントやロビー等各種構造基準を定めている事により、旅館業許可の取得は困難です。この様な旅館業法の基準は古いものであり、時代のニーズに合わせた見直しを行うべきではとの声もあります。
しかし、問題はこの旅館業法だけではありません。もっと重要な部分に建築基準法や消防法があります。
建築基準法や消防法で住居はある程度規制が緩和されている部分があるのですが、宿泊施設においてはかなり厳しい安全基準が設けられています。それでも数年に一度のペースで宿泊施設において火災が発生し多くの死傷者を出す事故が発生している実態もあります。
この様な状況下において宿泊施設に対する安全基準の緩和は現段階では到底行う事はできません。
また、マンション等住居施設でも消防法の問題は消防設備の増設等で費用は掛かりますが対応できるケースがあります。しかし、建築基準法上の問題は住居として建築された建物を宿泊施設に変更する事は不可能なケースが多く存在します。
避難用階段の数に違いがあったり、住居の場合は廊下等が容積率計算から除外されている部分が宿泊施設へ変更する事により加算され容積率オーバー、用途地域の問題等改善不可能な事も多くあります。

そもそも住宅と短期で人が入替る宿泊施設では安全上の問題や周辺へ与える影響等が異なります。
実際にマンションの1室で民泊させているケースで入居者と外国人宿泊者との間でトラブルになるケース等も増加しはじめています。
現在、各地域の議会で条例が可決されている国家戦略特区による民泊の緩和に関して、最低滞在日数が7日とされている部分に関しても、建築消防の問題等がクリアされていない事からこの様な規定が残されているといわれています。

この問題に関して行政側も問題意識はあるものの、無許可ホテル等大きな施設ではなくマンションの1室等である事から対象施設の把握が難しい事、対象数が多すぎる事から民泊を行っていても行政から何ら指摘を受けず業として民泊を続けている人が多いことも事実です。

しかし今後、民泊を行っている施設で火災等が発生し、死傷者等を出す事故が起きる様な事があれば一気に行政等の指導取締が強化される事は間違いありません。
早い段階で旅館業法だけでなく、建築基準法や消防法その他関係法令を含めた見直し議論を行い、安全性の配慮を最大限に行ったうえで現状と法の調整を行う事が必要かと思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅館業法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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