2014年09月15日

ダンスをさせる営業に関する有識者会議の報告書に関して

先日公開されたダンス規制見直しに関する有識者会議「風俗行政研究会」の報告書を見ると、4号営業は制度として廃止、3号営業(クラブ営業等)に関しては大きく3つのカテゴリに分類する事が望ましいとの内容でした。
その概要は以下の通りです。

・一般飲食店営業
深夜の営業が無く、照度(店内の明るさ)が10ルクス以上。
なお、現在の風俗営業の規定からダンス削除が前提であるのでダンスは可能。
・深夜遊興飲食店営業
深夜の営業でダンス等を行う営業。照度が10ルクス以上。現行法には存在しない営業形態。
・低照度飲食店営業(風俗営業)
照度が10ルクスに満たない営業。現行法第2条第1項第5項に規定される営業。改正後ダンスは可能。

なお、現行法の考え方では

・一般飲食店営業
深夜の営業が無く、照度は10ルクス以上で、ダンスは不可。
・深夜飲食店営業
深夜の営業。照度は20ルクス以上でダンスや遊興は不可。酒類の提供を伴う場合は深夜酒類提供飲食店営業。
・ダンス飲食店営業(3号営業)
深夜の営業がなく、照度は5ルクス以上。ダンスは当然可能。
・低照度飲食店営業
深夜の営業はなく、照度が10ルクスに見たない営業。ダンスは不可。

となっています。

この意見で先ず注目すべきは風営法からダンスと言う文言が消える事です。そして原則的にはダンスを行う飲食店は普通の喫茶店やレストラン同様に一般飲食店になる事です。また飲食を伴わないダンス営業は法の定義から外れる事になります。これによりダンスがあっても無くても法律上は何等左右される事は無くなります。
しかし、一般飲食店となったからには一般の飲食店が受ける規制は全て受ける事になります。

先ずは時間の規制です。飲食店を深夜に営業する場合は深夜飲食店となりますが、ここでは遊興行為が禁止されています。一般の飲食店と同じ規制をダンスを行う飲食店は受ける事になる中でここが問題となります。
では、そもそも風営法上の遊興とは何を指すのでしょうか。警察庁が示している風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律解釈運用基準では、
・不特定多数の客に歌、ダンス、ショウ、演芸、映画その他の興行等を見せる行為。
・生バンドの演奏等を客に聞かせる行為。
・のど自慢大会等客の参加する遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為。
・不特定の客に対しカラオケを歌うことを勧奨する行為等。
が遊興行為の具体例として列挙されています。ダンスに関しては現行法では風俗営業として定義されていた関係でそもそも深夜飲食店において行える行為では無いことから列挙されていませんでした。この風営法でいう深夜における遊興禁止の意味合いは、深夜は休息の時間帯であり基本的にはおとなしく飲食だけをして下さいと言った考え方です。
今回の有識者会議による報告書ではダンスをさせる行為は遊興行為に該当すると考えられています。確かに生バンドの演奏やダンスを見せる行為が遊興となるならばダンスをさせる行為は遊興行為であると言えます。
そうなると一般飲食店となるダンスをさせるクラブは深夜にダンスをさせる営業はできなくなります。また今は風俗営業許可を取得し繁華街の特例地域にて午前1時まで営業しているお店も、この深夜遊興禁止規定に抵触し0時までの営業になってしまいます。
しかし有識者会議の報告書によると新たに「深夜遊興飲食店営業」と言った業態を定義し、許可を受けた営業所は深夜遊興禁止規定を除外する考え方です。これにより深夜にダンスをさせる事は勿論、生バンドやゲーム大会等、今まで深夜に行う事が禁止されていた営業が可能となります。但し、原則的に深夜は休息の時間帯であるとの考え方があるので、この深夜遊興飲食店営業の認められる場所は繁華街等の限られた範囲になると考えられます。
この深夜遊興飲食店営業の新設は今まで認められなかった深夜遊興行為を許可制で可能とする規制緩和ではありますが、現行法において深夜遊興禁止規定を違反しても刑事罰は科せられない規定でしたが、この深夜遊興飲食店営業が許可制になった中で許可を受けない飲食店が深夜遊興行為を行えば無許可営業罪に問われる事になるので注意が必要と思われます。

次に照度の規制です。原則として飲食店は営業所の照度を10ルクス以上に保つ必要があります。この規定が緩和される営業は1号2号3号5号の何れかの風俗営業許可を受けた店に限られています。これらの風俗営業許可を受けている営業所は最低照度を5ルクスまで下げる事が可能となります。逆にこれら以外の飲食店は一切10ルクス以下の照度で営業する事は認められません。
今現在3号の許可を受けて営業しているクラブは風営法からダンス規定が削除される事により、今まで認められていた5ルクスは認められなくなり、一般の飲食店という事で10ルクスを維持する必要が生じます。
今までクラブは風俗営業として規制もしていたが、風俗営業者に対する緩和もしていました。今回の報告書の考え方としては風営法からダンスと言う規制を外し自由化をする代わりに、ダンスだからといって照度緩和する等の特別配慮もしないといった考え方でしょうか。今まではプラスもマイナスも特別扱い、今後はプラスもマイナスも特別扱いしないみたいな感じです。
これにより今5ルクスの照度基準に合わせて営業しているお店は、10ルクスに対応する改修工事が必要となります。また、10ルクスの照度とは現在営業されているクラブの多くよりもかなり明るい状態となります。
これに対して今までのクラブ営業と同様に5ルクスで営業を続ける為には5号営業(低照度飲食店)としての風俗営業許可を取得する必要があります。この許可を取得する事により5ルクスでの営業が可能となりますが、風俗営業としての各種規制を受ける事になります。
しかし、現行法での5号営業は深夜0時(繁華街の中心部等は午前1時)以降の営業が禁止されていますが、今回の報告書ではこれら営業に関しても地域の実情に応じて住民の意思を確認したうえで営業時間の緩和を行う事も記載されています。
なお、今までの3号営業で照度を5ルクス以下として営業していた場合は照度基準違反として処分される場合がありましたが、この報告書案の通り改正されて5号営業を取得せず10ルクス以下の営業を行った場合には無許可営業罪に問われる事となります。

今回の「深夜遊興」と「低照度」に関しては、そもそもダンス等を規制する為の基準ではない事から、これら基準によって規制すべきでないとの考え方もあります。
しかし、これら深夜遊興と低照度に関して、現行法においてダンスに関係なく存在している規定です。風営法からダンスという基準を外す事により、ダンスだからと言ってこれらの基準を適合しない理由も無くなってしまいます。
今回の報告書内容に関して更なる議論を行うにはダンス問題とは別に「深夜遊興」や「低照度」といった風営法のそのものの規制方法全般に関して見直す議論が必要になる可能性はあります。
通常、法改正等により有識者会議が開催される場合は半年間程度開催され、そこから実際に法改正を行うまでには半年から数年を要する事が多い中、今回有識者会議の開催期間は2カ月間であり、有識者会議の開催から実際の法案提出までの期間が合計で半年に満たないスケジュールになっています。
ダンス規制に関する問題が広がっていく中で、今秋の臨時国会で閣法にて改正案提出といった強行スケジュールだけが先に決定され、本来の法改正検討等に必要な期間が全く確保できていない状況での議論になっています。
本来であればダンス規定を削除し、その代り他の規定(遊興や照度)をそのまま当てはめるのではなく、更なる本来あるべき姿や、風営法そのものの考え方を総合的に議論すべきかと思います。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ダンス規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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