2011年01月29日

風営法の目的

一般的に風営法と呼ばれる「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の目的は法律第1条に書かれています。

この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

この条文の基本的な考え方として
1.人の本能的部分に起因する歓楽性及び享楽性が過度にわたる恐れのある営業の中で行われる恐れのある犯罪(売春、猥褻、賭博等)を防止。
2.営業から生じる歓楽性及び享楽性が過度にわたる事を防止して善良風俗を保持。
3.歓楽的雰囲気、享楽的雰囲気が無制限に拡散して周辺の環境が害されないようにし、風俗環境を保持。
4.歓楽的雰囲気、享楽的雰囲気が年少者の健全な育成を阻害する事のないようにする。
と考えられています。(注解風営法より一部引用)

判例においても
「・・・風俗営業がややもすると、売春や賭博その他風俗を害する犯罪を誘発するおそれがあり、または、性道徳のびん乱と奔放な射幸心を生じやすいためにこれを規制し、明るい文化的な社会環境を確立するとの公益上の目的に奉仕するものである。」
(徳島地判昭45.10.24)
となっています。

これらから読取れる事として、風俗営業そのものを否定しているわけではないですが、一定の秩序付けを行って過度の歓楽性や享楽性を防止しようとしています。
では何をもって過度であると判断しどの様な規制を課するかは、
「時代の変遷、情勢の変化等に応じて必ずしも一定ではないことから、国民の健全な良識と判断に支えられたものでなければならない」(警察学論集第52巻より引用)

という事は、時代の変化に応じて規制される業種やその規制内容が変化していく事になります。
実際にこの法律は昭和23年に「風俗営業取締法」として制定されて以降、度重なる改正を行っています。
直近では平成23年1月1日よりラブホテル営業の見直し及び出会い系喫茶営業を規制対象に追加(実質的には今回は施行令の改正)がされています。
逆に規制の緩和事例としてはビリヤードやダンス教室があります。
今までの流れを見てみると、規制の強化は多いが緩和は少ないようにも思えます。この大きな要因として考えられるのが、規制を緩和することにより現状よりも風俗環境等(法の目的部分)が悪化する恐れが無いとは言えない事にあると思います。
正直な話、風営法の対象営業が規制から外れた場合、何の変化が無いこともありますが、環境的にプラスに働く事は事前になかなか立証できない事実もあると思います。
もし今後、風営法の規制緩和等を立法府等へ求める事があるならば、この法律の目的と照らし合わせて、規制緩和を行ってもこの目的達成に何等障害を発生させるものではないという事を証明していく必要があると思います。


posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 17:46| 風営法全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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