風俗営業許可申請の際に気になる事として許可まで何日要するのかがあります。店をオープンする場合には1日でも早く許可が出て欲しいというのは多くの経営者さん共通の思いでしょう。この話は地域により異なる部分も多いので、ここでは大阪府の場合を書きます。
行政機関の事務処理期間に関して行政手続法では標準処理期間という考え方があります。この標準処理期間はあくまでも標準であり、その期間以内に処理を終える必要はなく、この期間を大幅に逸脱した場合に行政側の責任を問える事となります。また、標準処理期間を定めた場合は公表される事となっており、大阪府警でもホームページ上で公開されています。
大阪府下における風俗営業許可申請の標準処理期間としては、 「風俗営業の許可については、申請時期等により処理に要する期間が変動し、個別具体的な処理を要するため、標準処理期間を定めることはできない。」として定めていません。
但し、
「その目安となる期間を下記に定める」として目安期間としての公表はされています。標準処理期間を定めず、目安としての設定に留まる事から、期間に関する行政側の拘束力は低いものとされています。この考え方は大阪府独自のものではなく、警察庁が公表している標準処理期間のモデルケースも同様の考え方が採用されており、各都道府県がそれに準拠して定めを行なっています。
大阪府での目安期間として風俗営業許可に関しては4号営業のうちパチンコ関連と5号営業のうち専業店は55日、それ以外は45日とされています。警察庁のモデルケースでは全ての営業で55日とされいる状況から勘案すると1号営業等では短めの定めとなっています。大阪府以外では全営業で55日という所が多いです。時々、大阪での1号営業や麻雀店ばかりを取扱う行政書士が専業店のゲームセンターを45日として依頼者に伝えたり、大阪以外でも45日と伝える誤った事例がある様です。
この日数ですが本来の行政手続法の考え方であれば土日祝日等の休業日は含める必要がなく55営業日となるのですが、大阪府の現状としては休日を含めた日数として運用されています。但し、休日の考え方として他県では何らの予告なく突然営業日ベースでの運用となり、開店日変更を余儀なくされた店が続出したケースもありますので注意が必要です。
風俗営業許可に関わる目安期間のカウントでもう一つ大切な事として、「ただし、申請が到達した時点において、当該申請に係る営業所が存在し、実地調査が可能な場合に限る」という規定があり申請の段階で現場調査が可能な状態である事とされています。通常は申請してから現場調査までは日数を要しますが、申請した日に現場検査行くよと言われても店側は対応する必要が本来はあります。この目安期間の中で行政側の都合で処理を進める事ができる事が前提ですので、行政側が指定した日に現場調査が店側の何らかの事情で実施できなければ目安期間を大幅に超える事も致し方ないとされます。
風俗営業許可申請をお考えの場合はお店の準備を整え、スケジュールに余裕のある計画をお勧めします。
雨堤孝一