本来であれば風営法に基く風俗営業許可が必要な営業を無許可で営んだらどうなるのでしょう。これも行政書士をしていて、よく受ける質問の一つです。
「無許可で摘発されたら営業停止ですか?」この様に聞いてこられる方も多いのですが、これは当然違います。何故なら営業停止は元々営業が認められている所に停止という処分が下される訳であり、そもそも無許可営業に停止処分はあり得ません。極論で言えば違法ですが何回でも無許可営業は繰り返す事ができます。ただ当然ながら何度も繰り返せば重い刑事罰を課せられる事になります。
他にも「無許可でも一度目は注意で終わるでしょ」「罰金だけ払えば大丈夫でしょ」と言われる方も多いですが、注意なく検挙される事も一般的ですし、罰金を払うだけでなく何日も勾留されたり実刑を受ける事もあります。
今回は無許可営業で摘発された時の一般的なケースの流れを買いてみます。
先ず無許可営業の摘発は予告無く突然多数の私服警官が店に突入してきます。そして店内の捜索等が行われ、経営者や店長等一般的には複数名が逮捕連行されて行きます。
逮捕された場合には送検され、検察官は勾留請求を行います。逮捕されると48時間で帰れると思っている方も多いのですが、風営法違反事案は検察官により勾留請求され、それが裁判所に認められる事により10日間、更に延長の請求もされて合計20日間の勾留が行われます。警察による48時間、検察による24時間に加えての20日間なので最長で23日間警察署の留置場にいる事となります。
勾留期限を迎える頃に起訴、略式起訴、不起訴の処分が下されますが、風営法違反事案では略式起訴による罰金だけではなく正式に起訴されるケースも多々あります。起訴された場合は1〜2ヶ月後に裁判が始まりますが保釈請求して認められない限り裁判が終わるまで勾留が続く事となり、その場合は警察の留置場から拘置所に移送される事が多いです。
風営法違反事案は罰金だけでなく、懲役刑が採用される事もあり、執行猶予が付かずに実刑となるケースもあります。
さらに無許可営業の場合はこれだけでなく、犯罪収益として売上金が没収される事もあります。
無許可営業で摘発をされたら大きな代償を伴いますので、風俗営業を営む際は必ず許可を取得して下さい。
行政書士雨堤孝一