深夜にお酒を提供(専ら主食を提供する店は除く)する飲食店を営むには食品衛生法に基づく飲食店営業許可を保健所にて取得し、更に警察署にて風営法に基づく深夜酒類提供飲食店営業の営業開始届を行う必要があります。
この2つの手続に関して、それぞれ別名義で手続ができないか?と質問を受ける事が時々あります。もしこの質問に対してストレートにお答えするならば別名義でも手続はできるです。しかし、ここで早まって別名義での手続はしないで下さい。あくまでも手続ができるか、できないかに対しての答えです。もし質問が、2つの手続を別名義で行なって良いか?と質問を受けたら答えは良くないとなります。
手続ができるできないと、良いか悪いかは必ずしも一致しません。手続だけの観点で見れば警察署における手続の際は飲食店許可証の添付を求められ名義が違えば指摘されますが、極論を言えば法的に添付義務はありませんので手続としては可能です。
良いか悪いかで見てみると、食品衛生法の規定では客に飲食をさせる者は許可を取得する必要があるとされています。風営法では深夜客に酒類を提供する者が届出義務を負っています。仮に飲食店許可をAさん、深夜酒類の届出をBさんが行ったとして考えてみましょう。
Aさんの立場としては飲食店許可があるので飲食物を提供する事は問題ありませんが、その提供品が酒類で深夜ならばAさんとしては無届営業となります。
Bさんの立場としては深夜酒類の届出はしているので深夜に酒類を出す事に対する風営法上の義務は果たしていますが、食品衛生法上の客に対して飲食物を提供する為の行為に関しては無許可営業です。
飲食物を提供する行為と深夜に酒を出すという行為は切り離す事ができません。そして当たり前の話ですが、許可や届出は人の物を借りる事はできません。よって上記のようにAさんの無届又はBさんの無許可が成立してしまいます。
飲食店許可と深夜酒類の届出は真に営業する同じ人が行なって下さい。
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