2015年10月20日

深夜にダンスができるのは一部地域のみ

今回の風営法改正により朝までダンスをさせる営業が可能となりました。
という様な報道等が多くされていますが、全てが完全に自由化されたわけではありません。

ダンスを行う営業は大きく3つに分けられる事になります。
【法改正によるダンス営業の分類】
・一般飲食店営業
深夜(0時〜6時)以外の営業で営業所内の照度が10ルクスを超える営業。

・低照度飲食店営業
原則として深夜(0時〜6時)以外の営業で営業所内の照度が10ルクスを下回る営業。

・特定遊興飲食店営業
営業所内の照度が10ルクス以上で深夜に酒を提供しダンス(遊興)をさせる営業。

基本的にこの3つの形態からお店にとって相応しい営業形態を選択して営業する事になるのですが、全てのお店が営業形態を自由に選択する事はできません。
その制約には様々なものがありますが、一番の問題に地域規制があります。

【業態毎の地域規制】
・一般飲食店営業
規制なし

・低照度飲食店
この営業は風俗営業であり、住宅街等以外で学校や病院から一定距離が離れている必要がある。
(詳細は都道府県条例による)

・特定遊興飲食店営業
大規模繁華街又はベイエリア等の住居が存在しない地域。
(詳細は都道府県条例による)

今一番議論されているのが深夜にダンス営業が可能な「特定遊興飲食店営業」の営業可能地位(営業所設置許容地域)です。
現在都道府県において条例制定に向けたパブコメ等が実施されていますが、多くの条例案において営業所設置許容地域は現在の風俗営業における営業延長許容地域(風俗営業が深夜1時まで可能な地域)と同等です。
(東京都等に関しては現在の営業延長許容地域に一部地域を追加)
現在の条例案の多くがこのまま可決した場合、各都道府県の中でも中心部の中の一部だけが朝までダンスをする事ができる店となります。
大阪府の場合、キタ(堂山、兎我野町、太融寺町、北新地等)、ミナミ(心斎橋、千日前、難波等)の繁華街だけとなり、この近年開発が行われている大阪駅北側や阿倍野天王寺エリア、比較的大規模な繁華街である京橋エリア等も全て対象外となりダンスを朝までする事はできません。
この様な状況にも関わらず、報道等ではダンスが自由化等と誤解を与える表現がなされている部分があるのが残念です。

また、10ルクスを下回る照度で営業を行う低照度飲食店に関して法改正では風俗営業そのものの営業時間延長を条例により可能としており、風営法の理論上は深夜に暗い店でダンスをさせる事が可能になりましたが、実際の条例案において風俗営業の時間延長を1時以降とする案は現在のところどの都道府県からも出ていない様で、この営業時間延長に関する法改正は現段階では実質効力が何ら生じない状態となっています。

今回の法改正〜条例改正における流れではダンス営業に関して実質的に大きな変化が生じたとは言えない状況にもあります。
この理由として1つ考えられる事が、法改正議論が通常では考えられないスピードで進められた事があると思います。特に法改正〜条例改正までの期間が短すぎます。
本来、法律が改正されたのちに下位法令(政令等)のパブコメが行われ下位法令が決定、その後に条例案が作られパブコメが実施、そして条例改正となる必要があるのですが、今回は下位法令のパブコメ期間中に各都道府県条例案のパブコメが多くの都道府県において実施されています。
このスピード感では議論や検証等の時間も不足し、大きな変化を伴う条例案を作る事は難しい部分もあろうかと思います。しかし、法律により法律の施行期限が定められている為、条例は無理やりにでも改正する必要があり、結果としてこの様な条例案になっている部分があると思われます。

この事で大事なことは、今回の法改正及び条例改正が行われたら全てがそれで終わりと捉えず、今回の改正は大急ぎで行ったものである事から改正後再度改めて様々な議論や検証を行い、今回の法改正の趣旨に合わせた各種整備を継続実施する必要があると思います。

なお、各都道府県の条例は現在未だ案の段階ですので、実際の条例制定段階において内容が変更される事はありますので、それまでに少しでも実態等に合う内容とされる事が理想ではあります。
posted by 行政書士雨堤孝一事務所 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする